おっさんがジャンプを読むのは子どもっぽくてキツイという意見がある。僕(34)もジャンプは好きだし、反論はあるが、電車でジャンプを読んでいるおっさんがみっともないというのはわかる。
家まで我慢しきれない感じと、周りの目を気にしない感じがまさに子どもっぽい。悪い意味で”少年”ジャンプっぽいのだ。さらにジャンプは物理的にも大きいので隣の人にも迷惑だ。嫌悪感がほとばしるのも仕方ない。
だが、そのおっさんはサナギ。美しい蝶々に羽化する前の準備段階。そう考えたら、そんなに嫌悪感はでない。
例えば、スーツを着た50歳のおっさんが電車でジャンプを読んでいたら不快だが、それが杖をもって和服を着た80歳のおじいちゃんだったらどうだろう?
独特の渋みがスゴイ。
これはカッコイイ。なにか突き抜けたものを感じる。「まだ読んどんのかい!」にもほどがある。「何歳まで読む気?」と言ったらこっちが野暮になってしまう凄味がある。
きっとこのおじいちゃんは、
「ばあさんや、昔のジャンプは良かったのぉ」
なんてつまらないことは絶対に言わない。
「新しい連載が面白くなるかもしれんぞぉ」
きっとこういう前向きな発言をする。80歳にして、過去よりも未来に思いを寄せる少年の心を持ったおじいちゃんなのだ!
50歳のオッサンは、こんな素敵なおじいちゃんになるためのサナギなのだ。そのために、電車の中だろうが、昼飯食ってる途中だろうが、ジャンプを読み続ける。世間でみっともないと認識されている行為は、栄光への助走なのだ!!
ジャンプは今年で50周年を迎える。10歳の頃から80歳までジャンプを読み続けているおじいちゃんは、今のところ存在し得ない。しかし、電車でジャンプ読んでるおっさんは、そんな素敵なおじいちゃんになる可能性を唯一秘めた存在なのかもしれない。
そう考えると、不快感ほとばしるこのおっさんたちをギリギリ許せはしないだろうか? たまたま見かけても、少しは見守る気持ちが出ないだろうか?
ただ、そいつが60歳になったときに「還暦だからいい加減ジャンプは卒業する」とか言い出したらマジでむかつくだろう。