東京都内の新型コロナウイルス新規感染者数は11月11日以降、3週間以上も30人を下回っている。街中の繁華街はにわかに活気づき、まるでかつての生活を取り戻したかのようだ。だがこうした光景は仮初めのものに過ぎないという予感もある。11月下旬には新たな変異株「オミクロン株」の感染者が日本で初めて確認され、今後さらに感染が拡大する可能性もあると言われている。そうしたなか、やはりテイクアウトという手段は有用だ。感染のリスクをできるだけ避けつつ、居酒屋ならではの極上の料理を堪能することができる。東京・赤羽に点在する居酒屋のテイクアウトを網羅しようとする連載の第3回では、「カドナシヤ 赤羽南口店」を紹介しよう。
赤羽駅南口から徒歩1分。いや、わずか30秒もあれば到着しそうなほど近くの道路沿いに、「カドナシヤ 赤羽南口店」は店を構えている。外観は洒脱だが風情あふれる街並みにも馴染んでおり、円形と山笠マークが印象的なロゴを記した提灯が目印だ。店頭にはメニューが設置されている。もちろんテイクアウトの一覧も。
「カドナシヤ」のメインメニューは天丼だ。大量の油を必要とする揚げ物は、自宅でなかなか作ることができない料理の一つ。スーパーで購入することはできるが、作り置きしているためふやけてしまっていることも多い。そんな天丼を揚げたての状態ですぐに、しかも自宅にいながら堪能できるのは、テイクアウトの醍醐味の一つと言ってもいいだろう。
注文してから商品を受け取るまでおよそ15分。やや時間を要するように思えるかもしれないが、それは今まさに天麩羅が揚げられている証拠でもある。作り置きの弁当にはないサクリとした食感を味わうことができると思えば早いものだろう。今回は定番の天丼(990円)と新潟名物・タレカツ丼(990円)をいただいた。
海老、烏賊、白身、茄子、舞茸、さつま芋が贅沢に載った天丼は定番だが食べ応え十分だ。サクサクの衣には香ばしい風味が漂い、ほんのり甘いタレはクセのない味わいを演出してくれる。天麩羅の下には白飯との間にネギ、ゴマ、ノリが差し挟まれ、一食を通じて飽きさせない仕掛けが施されているところも好感が持てる。
メインは天丼だが、このタレカツ丼も絶品だ。見た目はシンプルでありふれた丼ものに見えるかもしれないが、薄めに調理された豚カツは独特の食感を創出し、そして甘辛醤油ダレが一層味を引き立たせている。薬味のワサビで好みの香りに調節できるところも良い。しかもキャベツはソースで誤魔化さず、しっかりと専用のドレッシングがまぶしてあるのだ。
「カドナシヤ」のこだわりが窺えるのが、この特製の割り箸。高級感漂う焦げ茶色のカラーに加え、持ち手部分にはロゴも刻まれているのである。テイクアウトは自宅で食すため、どうしても日常の一環となってしまいがちだが、このように細かい配慮があることによって、ひとときの非日常的気分を味わうこともできる。
料理が美味であるのみならず、普段とは異なる雰囲気で食べることができる上質なテイクアウト。新型コロナウイルス禍が続く中で、「カドナシヤ」はそんなひとときを演出してくれる。なお、「カドナシヤ」は赤羽南口店に加え、西口改札から約1分の場所にはひっそりとした佇まいの本店も構えている。赤羽ならではのスポットとして、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
店舗情報
カドナシヤ 赤羽南口店
住所:北区赤羽1-6-4 赤羽南口駅前ビル 1F
TEL:03-5939-9483(予約可)
営業時間:11:30~14:00(ランチ/月〜土、祝)
17:00〜27:00(ディナー/月〜土)
17:00〜24:00(ディナー/祝)
(感染状況により変更の可能性あり)
定休日:日曜
(感染状況により変更の可能性あり)