筋肉アイドルこと才木玲佳が、3月末で“筋肉を卒業”した。今後は筋肉のイメージに縛られず、俳優業などにも挑戦し、仕事の幅を広げていくという。それにともない、ケガのため2019年8月より休業していたプロレスを引退することも決定した。
自分が東京女子プロレスを初めて観戦したきっかけが才木だった。「あの筋肉アイドルの子の試合を観てみたい」と女友達に誘われて試合会場に足を運び、ドハマりして今に至る。近年は女子プロレス関係の仕事を担当する機会も増えて、あのとき誘ってくれた友達には感謝してもしきれない。ある意味、才木によって私のライターとしてのキャリアは大きく変わったと言えるのかもしれない。
地上波バラエティなどでの才木は、ツインテールで笑顔を振りまくアイドルらしいキャラクターだったが、リング上では自分の見せ方を大きく変えていた。髪を下ろして額を出し、普段より大人びたヘアメイクにしていた。いつかの大会で、キリッと相手選手を睨みつける才木を見て、近くの女性ファン2人組が「かっこいい……本当にかっこよすぎる……」とずっと呟いていたのが印象的だった。
正直、才木はプロレスを辞めるんだろうなとは感じていた。ケガの手術が終わり、メディア復帰を果たしても、一向にプロレス再開の発表はない。休業したままフェードアウトと思っていただけに、今になって正式に引退宣言をしたことにむしろ驚いた。「真面目な人だなぁ」と改めて感じた。
筋肉アイドルになったきっかけからして真面目だ。ダイエット目的でボクササイズを始めて、「体を鍛えること」「闘うこと」自体にのめり込んでいった。武藤敬司が設立したプロレス総合学院に第1期生として入学し、卒業後は東京女子プロレスなどに参戦。同団体のチャンピオンにも輝いた。単なる「芸能人の話題作り」に留まらない実績を残しながら、バラエティ番組で東大受験企画にも挑戦していたのだから頭が下がる。残念ながら試験は不合格だったものの、本人の「アイドルもプロレスも100%全力」というセリフは伊達じゃない。
才木がリングから離れているあいだに、女子プロレス界も大きく変わった。スターダムや東京女子プロレスが単独で両国国技館大会を成功させ、芸能活動の経験がある選手がベルトを巻くのも珍しいことではなくなった。女子プロレスがこれだけ盛り上がる中、圧倒的な華の持ち主である才木が再びリングに上がったら……と、つい想像してしまうが、本人の新たな選択を素直に応援したい。
才木の尊敬する先輩であるタレント・伊集院光は、かつて彼女にこう言った。
「才木のすごいところは、筋肉じゃなくて、何でも頑張れるところだよ」
世の中に、努力の才能がある人は少ない。何でも頑張れるれいたんの未来は、これからもきっと明るい!