いとわズ

【北京五輪の見方②】可愛いだけじゃない!アンナ・シェルバコワのポテンシャルは無限大

約4分

 北京オリンピックのフィギュアスケートもいよいよ後半戦。15日から開幕した女子シングルも、17日のフリースケーティングで五輪女王が誕生します。ROC(ロシア五輪委員会)代表で、今大会の大本命であるカミラ・ワリエワのドーピング問題が世間を賑わしたものの、当初の予定通り個人戦に出場することが決定。ROC代表が表彰台を独占する日が着実に近付いています。

 そんなROCフィギュア女子の中でも、ワリエワの優位を崩す可能性を秘めているのが、昨季の世界女王であるアンナ・シェルバコワ。線が細く儚げな雰囲気ただよう外見とは裏腹に、キレのあるジャンプを跳ぶ意外性を持つ選手です。

 シェルバコワは、2004年3月28日生まれの17歳。すでにトップスケーターとしての貫禄がすごいので私も忘れそうになりますが、まだティーンエージャーです。ちなみに、尊敬する人は浅田真央。なんでも「難しいジャンプと非常にエモーショナルで素晴らしいスケートを同時に見せるところが大好き」なのだそう。これは納得。彼女の演技は、技術と芸術性が両立されています。まさに真央ちゃんを彷彿とさせるスケートなのです。

※olympic.com:「スケートアメリカ優勝のシェルバコワ:浅田真央さんのことが本当に好き」より

 シェルバコワの必殺技は、高難度の4回転ジャンプ! 回転速度が速く、キレのあるジャンプは決まると本当に気持ちがいいです。もちろん彼女の魅力はジャンプだけではありません。体全体を使ったダイナミックな演技と繊細な表現力も武器のひとつ。とくに今シーズンのフリーの「巨匠とマルガリータ」中盤で、音楽の切り替えと共に表情がガラリと変わる場面は必見! あまりの豹変ぶりに背中がゾクゾクすること間違いなしです。

 さらにシェルバコワには、ここぞという時に必ず決めてくる集中力とメンタルの強さも備わっています。それが顕著に現れたのが、2022年1月に開催された欧州選手権でした。シェルバコワは、同大会のショートプログラムでジャンプを転倒。まさかの4位スタートと大きく出遅れてしまいました。地元ロシアでは「彼女は本当に北京五輪の代表に相応しいのか?」といった議論が白熱するなか、シェルバコワは鬼気迫る演技でフリーを滑りきり、総合2位を獲得。「自分こそが北京オリンピック代表だ」と証明してみせたのです。

Anna Shcherbakova (RUS) | Women FS | ISU European FS Championships 2022 | Tallinn | #EuroFigureより

 また、フリーで転倒してしまったロシア選手権の記者会見では「あなたがオリンピックに行く必要がありますか?」と意地悪な質問をされるシーンもありました。これにシェルバコワは「私の仕事は現地に行って滑ること。私もジャッジも自分の仕事をしただけ」と毅然とした態度で回答。自分のことだけでなく、ジャッジまで気づかうこの余裕……本当に17歳なのかと驚かされました。

 今シーズンのプログラムで、とくにシェルバコワの魅力が大爆発するのは、やはり「巨匠とマルガリータ」。息つく暇もない上半身の動き、冒頭の4回転フリップから次々と繰り出されるジャンプは「瞬きするのが惜しい」と感じるほどの迫力です。可憐な外見とずば抜けた表現力で「妖精さん」とファンに認識されている彼女ですが、このプログラムは力強さが前面に出ています。天性のリズム感と体幹の良さが感じられるステップシークエンスにも注目していただきたい。情熱的なステップやターンからの流れるようなスピンには、思わず拍手を送りたくなるはず。

Anna Shcherbakova (RUS) | Women FS | ISU European FS Championships 2022 | Tallinn | #EuroFigureより

 13日の公式練習では調子が悪そうでしたが、シェルバコワはこれまでも数々の困難を乗り越えてきました。彼女の強靭な精神力を信じて、欧州選手権のような鬼気迫る演技をオリンピックという最高の舞台で見せてくれることを期待しています。

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