世界若手料理選手権「THE BLUE」第一の門開始!
お題は、死にかけジジイの“最後の晩餐”にふさわしいものを作れというもの。これはグルメ漫画でよく見かけるテーマであり、だいたいは故郷の味を再現することが正解。小さなヒントを見逃さずに、どこ出身のジジイなのか? あるいは、その地方独自の幻の食材をどう表現するかなどがポイントになってくる。
このお約束、やってないグルメ漫画ってどれくらいあるんだろ。「将太の寿司」だけで5回くらいやってた気がする。
グルメ漫画あるある“お年寄りの最後の晩餐”
しかしこのジジイ、そんじょそこらのジジイではなく、なんと裏の料理人“ノワール”出身。戦時中にその料理の腕を買われ、戦地でも調理場でも多くの人間を葬り去った無頼漢だそう。よくわからないけど、すごい人物のようだ。
なもんで、普通のジジイよろしく「最後に地元の食材で作った母さんの煮物が食いてぇ」とか、「戦争に行く前の日の晩、1度だけ食べたあの茶漬けはなんじゃったんじゃろうか?」とか、そんなしみったれたことは言わない。世界の一流料理人が作った“ジジイの故郷の味噌煮込みうどん”なんて食べもせずに、不合格の札を投げつける。
正解を導き出したのは、ノワールの料理人たち。その1人のパンク小僧は、「料理に情熱をかけてきた死にゆく料理人にすべき唯一の事は、“もう死んでもいい”というくらいの全力の品をぶつけること」と、この課題の正解を語っている。
そんなパンク小僧は、“連発式牛ロースト六連弾(リボルバー)”という6種類の牛肉をローストした老人には重い皿を提供していた。調理法やどんな部位があるかなんてほぼ説明せず、“全力の料理感”だけを押し出して見事に第一の門を突破していた。
創真が何を作るのか考えてみよう!
そんな第一の門の課題に、主人公・創真は「最後の晩餐だぁ?気に食わねぇーなぁ」とご立腹。お題の本当の意味をわかったうえで不満があるようだ。ここで今話は終了。
「一体なぜ創真が怒っているのだ!?」という“引き”なわけだが、ほぼ間違いなく創真は、ノワールたちが作った“死んでもいいと思わせる料理”ではなく、“もっと生きたいと思わせる料理”を作るはずだ。「死ぬまで料理を楽しもうぜ!」といったところだろう。
こんなもんは“食戟のソーマ”ファン、ひいては少年ジャンプファンからすれば問題にすらなっていない問題だ。なので今回はその一歩先を行った創真が何を作るかを考えてみたい。
“もっと生きたい”、つまり健康面で考えると、新戸緋沙子お得意の薬膳料理が思いつく。新戸は秋の選抜で、さきほどまで生きていたすっぽんの血肉をパテにするすっぽんバーガーというインパクトの強い品を作り上げている。「新戸、得意技借りるぜ」的なノリで創真がこっち方面に手を出す可能性はそこそこありそう。
続いて考えられるのは、スパイスを使った“後引く味”だ。食後も口の中に強烈な香りや刺激を残し、美味いと感じさせるも食欲を煽って満足させない方法だ。絶対嗅覚の持ち主の葉山アキラが得意っぽい。
上記で挙げたパターンが王道の答えだろうか。だが、これだと結局は2人の焼き直しになってしまい、コアなソーマファンは納得しなそうな気配がする。ということで筆者が創真に作ってほしい料理は前菜。ただのサラダとかスープじゃなくて、明らかに続きの皿があり、それを想像させるインパクトのある前菜だ。
「これの続きが食べたいんじゃ!」
「だったら死なないでもうちょっと生きて見ろよ」
的なやりとりに発展するヤツ。前菜であり、その続きを想像させる説得力を持った皿を描くのはメチャクチャに高いハードルだけど、でもそれは、お題にありきたりなところをついちゃったんだから仕方ない。