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地獄の育児録~保育士の本音編~

仕事の関係で知り合ったのだと思うが、僕のLINEの友だちに保育士さんがいる。

いつ、どこで知り合ったのかもわからないし、登録名が下の名前だけなので、正直言って誰なのかわからない。ただ、その顔も名前もわからない保育士さんが、今すごくすごく気になっている。

気になる保育士さんのタイムライン

1年ほど前から、その人がLINEのタイムラインに気になる投稿を繰り返しているからだ。その内容は、長文短文様々。かいつまんだものがこちら。

貯金とか、普通に考えて無理なんだけど・・・

はいはい。全部ウチらが悪いのね。そうやって責任押しつけてればいいよ。

子供は悪くない、子供は悪くない、子供は悪くない、子供は悪くない、、、

出たーーーストレス太りぃーーー

完全に弱っておられる。不満が不満を呼び、ストレスから体調に変化まで起こしていらっしゃる。保育士は激務だと聞くが、彼女は本当に大丈夫なのだろうか? 印象としてはかなりギリギリっぽい。

娘が通う園の保育士さんは大丈夫かしら?

そうなると不安なのは、我が娘が通う保育園の保育士さんたちのメンタルだ。もちろんタイムラインの保育士とはまったくの別人で、なんの関係もない。しかし、いつも明るく元気に話しかけてくれる保育士さんたちが、あのタイムラインを見たあとだとどうしても作り笑顔に見えてしまう。すべてが嘘に感じてしまう。

例えば、「あら~〇〇ちゃん髪切ったの? かわいいねぇ」なんて口では言っていても、「かわいいって言うのめんどくせんだよ! 髪なんて丸刈りにしとけ!」と考えているかもしれない。

「〇〇ちゃんが昨日ドングリくれたんです~」と嬉しそうにしていても、「ドングリ? その場で捨ててやったわ!」と悪態をついている可能性がある。

「おしっこしたのを教えてくれるようになったんです~」という成長報告には、「テメーの娘のクソがダントツ臭えけどな!」とディスっているかもしれないのだ。

あのタイムラインを見るようになってから僕は、必要以上に気を遣いながら娘の送り迎えをするようになってしまった。もし僕が嫌われたら、その腹いせで娘が影でツネられてしまうかもしれないからだ。

見てはいけないもの

そして昨年12月のある金曜の夜、僕は見てはいけないものを見てしまう。保育園からだいぶ離れたとある駅のホームで、保育士3人を発見してしまったのだ。お互いを支え合いながら歩くその姿は、遠巻きに見ても完全に酔っ払っていらっしゃる。

園によって違うのかもしれないが、保育士には保護者にプライベートで一切関わってはいけないというルールがあるらしい。酔っ払っているところを見られるなんてもってのほかなのだろう。わざわざ遠くまで飲みに行くのはおそらくそのためだ。

せっかく気持ちよく飲んだ帰りに、僕なんかと遭遇したら彼女たちはどう思うだろうか?

「こんなに離れてダメならどこで飲めっつーんだよ」

「だいたいアイツなんでこんなとこにいんの? 腹立つわ~!」

「嫌いだわー! 前から空気読めないと思ってたんだよ! おまけに娘のクソは臭―し」

やばい! このままでは僕のせいで娘がツネられてしまう!! なんとしても、彼女たちに気付かれてはいけない! 今すぐどこかに身を隠さないと!

娘を守るために演じる茶番

しかし、逃げようにも僕がいるのはホームの端っこ。3人はフラフラとこちらに近づき、隣の乗車口で歩みを止めた。同じ乗車口まで来なかったのは不幸中の幸いだが、この距離はマズイ。

「もし菅田将暉と付き合えたら~」というマジでどうでもいい保育士たちの話し声がハッキリと聞き取れる距離だ。

どうする!? このまま一緒に乗車したらさらに追い込まれてしまう。かといって、乗車せずにこの場に立ち尽くしたら不自然な存在として彼女たちの眼に止まってしまうかもしれない。だったら頭のおかしい人のフリをして、コートを被って走り出すか? しかし万が一、人にぶつかって顔をさらしてしまったら最悪だ。

間違いなく娘はツネられてしまう! オムツにすき間を作って、ウ〇コが時間差で漏れるようにされてしまう。

どうしたらいいのだ!?!?!?

そこで僕が思いついた茶番とも言える苦肉の策が、芸術家並みの集中力で考えごとをしているフリをすること。これなら電車が来ても集中しているので乗り後れてしまってもおかしくない。3人と同じ電車に乗らなくても済むのだ。

さっそく茶番開始。ブツブツと何かしらを呟き続け、眼は真っ直ぐ一点を見つめる。少しマフラーがほどけかけているのも、良い感じに”芸術家”感を演出している。これならもし気付かれても、こちらがあちらに気付いているとは思われないハズだ。

むしろ、「考えごとしている間に逃げよう!」と、彼女たちに逃げる好機を与えることができる。

在宅中に空き巣に入られたら、気付いたことを空き巣に悟らせてはいけない! の理論だ。

3mぐらいの距離だろうか? 彼女たちは酔っ払いながらバカ笑いをしていてこちらには気付かない。こちらは芸術家並みの集中力で考えごとをしているので、彼女らに気付かない。ホームには、「いーや、菅田将暉は意外とマメにLINEくれるタイプだね!」と謎の自信に満ちあふれた声が響き渡る。

数分が経ったころ、急に3人の声が消えた。何が起きたのか気になるが、芸術家ばりの集中力で考えごとをしているはずの僕は目線を動かすことができない。

気になる、気になる。

そしてその数秒後、3人少し不自然な会話を始めた。

-なんだかんだいって、子供たちが一番大事だよね

–本当だよね。笑顔を見てると疲れも吹っ飛ぶ

—うん。来週も頑張ろう!

こちらが茶番ならあちらも茶番。完全に僕に気付いていらっしゃる。

念のため僕は、1点を見つめたまま電車を見送った。

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