HADO 2018 CLIMAX SEASONの戦いがスタート!

怪談キャノンボール、最終結果は……!? 怪談作家・川奈まり子さんが“真打ち怪談”の選評をしてくれたよ

–こうして3チームの実話怪談が出そろった。

始めは「実話怪談とは……?」という状態だった他の編集部員たちもレースを通して意識が高まったらしい。加点・減点をチェックする会議では、「そんなの怪談じゃない」「怪談として質が低い」「うちのチームが一番だ」と激論が繰り広げられた。それによって編集部内にうっすら険悪な空気が漂うようになってしまった。誰だって優勝賞品の焼き肉は食べたいし、罰ゲームの心霊スポットには行きたくない。

それぞれのチームが集めた怪談の中でも、これぞとっておき! と提出した真打ち的な怪談には別に順位がつけられることになった。第1位を獲得したチームには+50ポイント、第2位を獲得したチームには+30ポイントが加点される。つまり、現時点で劣勢にあるチームだって、真打ちの順位次第で逆転が可能なのだ。

これは絶対に負けられない戦い。なんとか決着をつけないといけない。そこで、「いとわズ」でも以前インタビューさせていただいた怪談作家の川奈まり子さんに、それぞれのチームの真打ちを評価してもらった。

怪談にも裏取りが必要!?作家・川奈まり子が案内する“ルポルタージュ怪談”の世界

選評:『万年床』

途中までとても楽しく読めたのですが、最後がモヤモヤしてしまいました。しばらくして死んでいるのが見つかってもいいんですけどね、ええ。そのときは万年床だけがなぜか部屋に帰ってきていて、子どもの笑い声が聞こえたりすると最高に怖いなぁ!

……とにかく、そういうオチがないと、怪談になりません。だって、この終わり方だと、万年床を処分して布団を買い替えただけかもしれないじゃないですか? まさかとは思うけど、久しぶりに訪ねていったら友人が帰ってきていて、新しい布団で寝てたりして(笑)。

なぜ布団が消えたのか? というわけのわからなさが実話らしくてとても良い味を出しているだけに、結末の情報不足が残念です。

【怪キャノ・原田&チャロス組】が聞いた怪談真打ち『万年床』

選評:『エナ工場』

ネタとしては「エナ工場」がもっとも私の興味を惹きました! 取材してみたいと本気で思っています!

しかし、作品としては構成に難があるかな? 前段で種明かしをしてしまっているため、後段の怪異を活かしきれていない印象です。後段の「体験談」を先に持ってきて、そこで前段の「事実(情報)」を体験者が思い出すほうが怖くなります。もしも前段を先に持ってくるなら取材をもっと緻密にして、事実だけで奇譚として読ませて、その事実を踏まえて怪異を描くと読み応えのあるものになるのでは。

でも、とにかくネタが面白い!誰も知らなさそうな仄暗い情報を提供できれば、それだけで奇譚として成立し得るので、価値ある1話です。

【怪キャノ・社長&沢野組】が聞いた怪談真打ち『エナ工場』

選評:『防空壕』

完成度が高い実話奇譚だと思います。

でも、私だったら、最後から4行目の「喋っちゃいけないな」というあたりの奇妙な空気感をもっと強調するけれど……。そのために、いきなりその場面から書き始めるかもしれません。あるいは、現在の構成のままで、「喋っちゃいけないな」以降の子どもたちの描写を増やすかなぁ。

死んでしまうとか失踪してしまうとかポルターガイスト現象が起きるなどといったことと比べると、会話ができないというのは、怪異として決して強くありません。インパクトに欠ける怪異を、如何に不思議に、面白く描くか、プロの作家はいつも工夫しています。

裏返せば、ちょっと工夫して、あと2、3行足すだけで、とても怖くて面白くなるということ。子どもたちの汗の匂いまで描けたら、凄い作品に化けると思いました。

【怪キャノ・編集長&チョウ組】が聞いた怪談真打ち『喋ってはいけない防空壕』

怪談に順位をつけるなんて間違っているよ!

ライターとして日ごろ文章を書く仕事をしている編集部員たちも、“実話怪談”というジャンルにおいてはひよっこ。体験者の語りから手はかなり加えたが、プロの怪談作家からすると、さらに怖くするための工夫の余地がまだまだあるらしい。実際に自分たちも書いてみて、実話怪談というジャンルの奥深さに触れられた気分……。オカルト好きの筆者としては、川奈さんのアドバイスを参考に今後も実話怪談を収集していきたい所存!

ところで川奈さん、順位のほうはいかがでしょう?

順位についてですが、しっかり読ませていただきましたけど、今回はつけられません。怪談文芸コンテストの審査員をやるほど大物ではありませんから(笑)

怪談界の大物なのに謙虚……! そんな川奈さんの人間性に触れたことで、勝ちにこだわるあまりギスギスしていた編集部内にも変化が生まれた。どんな小さな怪異であろうと、体験した人にとっては印象深い記憶なのだ。それに優劣をつけようとするのは間違いでは……!?

なんだよ、「『ジジイorババアが会いに来た』オチは-10ポイント」って! 感動的な話だろ!(自分が提案した)

みんな一等賞! というわけで、真打ちに順位は決めず、全チームに50点加点することに。「怪談に優劣をつけるのはよくない」という気持ちになった今、もはやランキングを作ることに意味はないのだが、一応それぞれの最終獲得ポイント数も発表しておく。

まぁ罰ゲームとかしたってね……仕方ないからね……この発表にとくに意味はないんだけどね……一応ね……。

ところで、弊社からもほど近い、東京・千駄ヶ谷には心霊スポットとして有名なトンネルが存在する。

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意味ないと言いながら罰ゲームを実行させられた編集長(左)とチョウくん(右)

それでは、また来年の夏。

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