HADO 2018 CLIMAX SEASONの戦いがスタート!

【怪キャノ・編集長&チョウ組】サマーアンセムとしての怪談キャノンボール

怪談キャノンボールの組分けが決まったとき、編集長はいつになく厳かな口ぶりで「海に行きましょう」と言った。やぶさかではない、と僕は思った。ケツメイシも「山、川、よりやっぱ海」と歌っていたし。

※ルールはこちらを参照

街へ出よう、実話怪談を集めよう。『怪談キャノンボール2018』開催決定!

そして編集長と僕は江ノ島に行き、水着の女性たちを見た。青空の素晴らしい、完全に夏らしい夏の日だった。

編集長

目的の8割は達成しましたね

…と編集長が言った。僕もそう思った。正直、もうほとんど勝ったみたいなものだ。

サマージャム’95、真っ昼間、楽園ベイベー、サマー・シンフォニー Ver.2、Summer Situationといったアンセムが脳内に響き渡った。気分はもう甲子園の優勝投手だ。大リーグボール3号だ。

とはいえ残りの2割、つまり怪談を集めることも忘れてはいけない。焼き肉は食いたいし、罰ゲームは面倒くさい。我々とて、単にケツメイシの曲みたいな情景を眺めるためだけに江ノ島にやってきたわけでないのだ。勝算もある。僕が作り上げた必勝の理論はこうだ。

海→薄着→開放的→なんかいろいろ話してくれる

完璧すぎる。この理論を応用して、夏はオフィスでも全員が水着を着用するようにすれば若者の性欲が高まり少子化も解決できると思う。小池都知事、よろしくお願いします。

「謎の話キャノンボール」と化した江ノ島探訪記

僕は根っからのええカッコしい&チキンなので、ナンパだと勘違いされるのはメンタルが耐えられない。そんなわけでビーチで酒を飲んでいたノリのよさそうな男性4人組に声をかけてみる。仲間内でなんやかやと言い合った末に、1人がこんな怪談を披露してくれた。

芸人のHさん(30代・男性)の話

廃病院じゃなかった?

10年くらい前の話なんですけど、仲のいいA先輩が心霊スポットめぐりにハマっていて、ある日『超こえー廃病院があったからみんなで行こうぜ』って誘ってきたんですよ。僕も含めて男4人で車でその廃病院に行って中にも入ったんですけど、そうそう都合よく心霊現象なんて起きるはずもなく、結局なにもないまま帰ったんですよね。

でもその3日後、めちゃくちゃ動揺したA先輩から電話があって『お前らもう一回あの病院に行くぞ!』って言われて実際に行ってみたら、なんと普通に営業している病院なんですよ。つまりまったく廃病院じゃなかったんです。『じゃああの夜、俺たちが入ったあそこはなんだったんだ!?』って話じゃないですか。マジでビビりますよね。以上です

たいしてビビらなかったが、「語り手の実体験」だったため5ポイント獲得。Hさんのご協力に感謝して、次の怪談の持ち主を探す。基本的に声をかけるのは僕で、編集長はちょっと離れたところからニヤニヤしながらこちらを見ている。

そういう作戦だ。

水着姿がまぶしいKさん(20代・女性)の話

僕らが次に狙いを付けたのは若いカップル。これならナンパだと思われることなく、自然と女性にも話を聞くことができる。ハート型の浮き輪を膨らませていた仲睦まじいカップルに「怖い話を集めているんですけど」と切り出すと、彼女の方が「怖い話ですか。うーん……」とひとしきり悩んだ後、こんな話をひねり出した。

夢と甲冑と私

180828 8tokucho 2

なぜかKさんの彼氏が写真撮影に応じてくれた

子どものころに見た夢で、『知らない間に隣の家がお化け屋敷みたいになっている』っていうのがあって、その夢の中に落ち武者の亡霊が出てきたんです。その夢がとても印象に残っていたんですけど、後日その家の中に甲冑が飾ってあるのを見てしまったんですよね。それですごく怖くなってお母さんに話を聞いたら、『その隣家の前の住人は、そこで首吊り自殺をしたんだよ』って聞いて、『なるほど』みたいな

なるほど。なるほどなるほど。話のつながりが全然わからん!

この話は後日編集部で行われた会議で激烈にディスられ「怪談ではない」と定義されかけたが、「チョウの聞き方と書き方が悪い」「チョウが無能」という判断でポイント上はプラマイゼロとして扱われることになった。Kさん、せっかく話してもらったのに申し訳ありませんでした。

Sさん(20代・女性)の話

しかしカップルは悪くない作戦かもしれない。余勢を駆って近くの男女にまた声をかけてみる。怖い話と聞いて「ないなー」「ないよねー」などと言い合いながら、思いつきでこんなことを言ってきた。

紫色のドロドロ

ついこないだバイト先のトイレ掃除をしようとしたら、便器の中に紫色のドロドロしたものが溜まってたんですよね。めっちゃ怖かったです

Oさん(20代・男性)の話

死んだ犬の霊

なんか妹が『死んだ愛犬の霊が見える』って言ってました

そういうのじゃないんですけど、スッキリしていていいと思います。僕は好きです。この2本も編集部での会議で「完全に怪談ではない」と集中砲火を浴び、それぞれマイナス5ポイント、合計10ポイントの減点となってしまった。

その後もたくさんのカップルに声をかけたが不調が続く。とにかく砂浜がめっちゃ熱い。スニーカーの裏からでも地熱を感じる。真夏の海だから当たり前なのだが。

・・・
・・

180828 8tokucho 3

編集長は話を聞く気は全然ないらしく、鳥の写真を撮っていた。たしかにいい写真です。

日焼け中のDさん(50代・男性)の話

編集長の指示で、一人で優雅に日焼けをしていた中年男性に声をかける。サンオイルで肉体がテカテカしていてすごい。内心少しビビりながらも「怖い話をご存知であればぜひ……」と聞いてみると、意外とノリノリで話してくれた。

目の前に亡くなった祖母が……

180828 8tokucho 4

僕はそもそも幽霊とかまったく信じないんだけども、去年ひさしぶりに実家のある石川県に帰省したんだよね。墓参りをすませて実家で一息ついていたんだけど、恥ずかしいことに階段から落ちて頭を打って気絶しちゃったのよ。
不幸中の幸いで脳震盪くらいで大事には至らなかったんだけど、目が覚めた瞬間、目の前に死んだおばあちゃんがいたんだよね。もう完全にリアルな生前の姿で、確かに僕の目の前にいたんだよ。さすがにあのときは『生死の境にいたから、おばあちゃんが会いに来たのかな』って思ったね

完全にマイナスのやつや!「ジジイorババアが会いに来た」でマイナス10ポイント、「語り手の実体験」でプラス5ポイント、相殺してマイナス5ポイント。でもDさん、日焼け中にお話とお写真ありがとうございます。怖い話というより、ちょっといい話でした。

180828 8tokucho 5

ビーチを2往復して一通り声をかけたあたりで、橋を渡って江ノ島の観光地っぽいエリアに移動。マジで暑い。あと橋のたもとにある公衆トイレが怖い。水が一滴も出ない。

江島神社周辺では大苦戦。もはやナンパと思われてもいいので若い女性にも声をかけまくるが、怖い話を持っている人が全然見つからない。「江ノ島とかスピリチュアルぽいエリアに遊びに来ているんだからなんかあるやろ」的な見込みが甘かった。あと、おばあちゃんに声をかけたら詐欺師かなにかだと思われたのか、マジな勢いで逃げられた。ショック。

180828 8tokucho 6

しょうがないので普通に観光客みたいにはしゃぐことにした。じゃっ夏なんで。

Tさん&Kさん&Sさん(20代・男性3人組・語り手はTさん)の話

気を取り直して、江ノ島エスカーの乗り場近くにいた男性3人組に声をかけると、「そういや前に江ノ島来たときの……」「あー、アレな」といった軽いノリでこんな話をしてくれた。

青春と尿意と電話ボックス

ハタチくらいのときっすかね。残暑と秋の境目くらいの日の午後に、こいつらと一緒にファミレスでダベってたんですよ。そこでKがいきなり『海行こうぜ』とか言い出して、東京の調布から車を出して江ノ島に行ったんです。着いたころにはもう夕方で、特に意味もなくモテない男3人で黄昏れてたんですけど、なんの収穫もないまま『暗くなったし帰るか』ってことになって。

適当に来た道とは違うローカルな道路を走っていたら、すごい寂しい場所に出たんですよ。そこでSが『トイレ行きたい。もう耐えられない』とか言うので、店もなにもないけどそのへんに降ろしたんですよね。まあ立ちションです。なんか周りを見ると西洋風の墓地っぽいところで、超不吉な感じがするんですよ。

で、Sはどっかの陰で立ちションするのかと思ったら、なぜか墓地のすぐ脇の公衆電話のボックスの中でやり始めたんですよ(笑)。たぶんバカなんでしょうね。戻ってきたSに僕らが『なんで電話ボックスで立ちションすんだよ』『バカじゃないの?』って散々注意しても、Sは『だって暗くて怖かったんだもん。電話ボックスって明るいじゃん』とか言うんですよ。完全に頭悪すぎるじゃないですか。その後は普通に帰ったんですけど、なんかあの寂しい景色が妙に気になって、僕が個人的に調べたんですよね。そしたらSが立ちションした電話ボックスが『死霊の集う電話ボックス』として有名で、そこを訪れた宜保愛子があまりの悪霊の多さに卒倒したって話が出てきて、マジで爆笑しちゃって(笑)。面白くないですか?

いや、面白いです。僕は好きです、そういう話。でもそれは怖い話ではないですね! 案の定、会議で「怪談ではない」とマイナス5ポイントの判断。しかし宜保愛子の名前が出たことで急遽「宜保リスペクトポイント」として温情の3ポイントが付与され、差し引きでマイナス2ポイント。なにをどう頑張ってもマイナスばかりが積み重なっていく。

Kさん(20代・男性)の話

この思い出話で盛り上がってしまったのか、「そういうのなら俺もあります!」と3人組の中のKさん(電話ボックスで立ちションしてない方)がさらにこんな話を教えてくれた。そういうのなら全然いらないのだが……。

闇の中の白い老婆

広島県の尾道に旅行に行ったときの話です。旅先で知り合った人たちと仲良くなって、深夜1時くらいまで飲み屋でワイワイやってたんですよ。とりあえず1人で帰ろうとしたんですけど、周りがめちゃくちゃ暗くて宿までの道がわかんなくなっちゃって。尾道って坂の街でそこら中に寺とか墓地があるんですけど、そのへんで40分くらいさまよってたんです。

そしたらなんか前方の民家の庭に白い影が見えて、『うわ、やべえ、見ちゃいけないやつかも』って思ったんですけど、誘惑に負けて見ちゃったんですよ。髪から服から、なにもかも真っ白な老婆がいたんです。右手には鎌を持っていました。超怖くてベタに足下を見たんですけど、そしたらちゃんと足があったので、とりあえず『こんばんは』って声をかけてみたんです。そしたら向こうも『こんばんは』って返事をしたので、『なにをされてるんですか?』って聞いたら『草刈ってる』と。深夜2時に。まあ完全にただのちょっとボケたおばあちゃんだったんですけど、そこから30分以上立ち話ですよ。隣の寺の若い住職の文句とか言ってましたね

だからそれは怪談ではない。マイナス5ポイント。

※怪キャノ・編集長&チョウ組:合計−17ポイント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です