ゴミにはプライバシーがある。他人のゴミを無許可で漁ると、捕まることもあるらしい。
マンション管理人のバイト
数年前、フリーライターだった僕は、マンションの管理人のバイトもしていた。ほかのマンションの管理人がどういった雇用形態で働いているのかはよくわからないが、僕はバイト、むしろ知り合いのお手伝いくらいのテンションで働いていた。
8時から17時まで管理室にただ居ればいい。大学生専用マンションだったので、誰も管理人なんぞに話しかけてくることはない。やることなんてほぼ皆無だった。
沢野:ここで原稿を書けば、原稿料とは別に時給1000円が貰えるぜー
お金が貰えるレンタルオフィス、そんな目論見で始めたこの仕事だったが、1人でいるときの僕は無気力の塊だ。
沢野:仕事中に他の仕事をするのは失礼だ
と自分でもまったく納得できない言い訳をして、マンガを読んだりゲームをやったり。時には「巡回中」の札を出して、ももクロのライブに行ったりしていた。
ちなみに、マンション管理人の仕事は大変なところも多く、僕が働いていたマンションはかなりの例外らしい。
唯一の仕事はゴミの分別
そんな管理人のバイトだったが、たった1つだけやらなければならない仕事があった。ゴミの分別だ。とはいっても、可燃ゴミに混じっているペットボトルと缶と瓶を取り除くだけとものの5分もかからない作業だ。
もちろん、ゴミには捨てた人のプライバシーがある。分別という大義名分があるからといって、ジロジロ見て良いわけがない。だが、それでもどうしても目立つゴミはある。
[box class=”box28″ title=”真っ赤なおパンティ”]
女性モノの派手な下着が数枚ほど生でゴミ袋に入っていた。しかも、その1枚の赤いおパンティがペットボトルに引っかかっていた。そのおパンティをペットボトルから取る瞬間を持ち主に見つかっていたら、小心者の僕は悪くもないのに絶対に謝罪していたと思う。こういうのは謝ったらもう終わり。マジで下着は小分けして捨ててください。
[/box]
[box class=”box28″ title=”小銭”]
かなりの量の10円以下の小銭がゴミ袋に入っていた。最初は偶然だと思っていたのだが、定期的に小銭が捨てられているゴミ袋を見かけた。たぶん、小銭を使うのが面倒くさいという超めんどくさがりでお金持ちの学生さんの仕業だろう。
[/box]
[box class=”box28″ title=”AKBの同じCD数百枚”]
シンプルに「おお…」って思った。握手券を取り出す開封作業は大変と聞くので、一緒に捨てられていた空き缶がレッドブルだったのも、「おぉ…」ってなった。
[/box]
[box class=”box28″ title=”相川七瀬のCD数枚”]
大学生専用マンションだったので、世代的になぜファンになったのか疑問。そして、なぜファンを辞めたのかがもっと疑問。
[/box]
[box class=”box28″ title=”送別会の寄せ書き”]
「〇〇ちゃんと働いた1年間めっちゃ楽しかったよ!」「就職しても元気でね!」「いなくなって寂しいけど、○○(たぶん居酒屋名)のホールは私が守るからね!」
みんなの思いがたくさん詰まった色紙。日付はつい一週間前だった。
[/box]
[box class=”box28″ title=”大量のコンドーム(新品)”]
イマジネーションを最も掻き立てられたのがこのゴミ。12個入りにもの6箱が、箱ごとボールペンで突き刺したように穴が開けられていた。シンプルに恋人と別れて必要なくなったのか、それとも“2番目の女”的な人が、1番になるためにゴムに穴を空けたが虚しくなって捨てたのか、正解はわからない。だが、ただならぬストーリー性を感じた。
[/box]
[box class=”box28″ title=”皮が剥かれたバナナ”]
キレイに皮が剥かれたバナナが数本。なぜ剥いたのか? なぜ食べなかったのか? わからなすぎて異様に気持ち悪かったのを覚えている。
[/box]
[box class=”box28″ title=”爪袋”]
スーパーで野菜とかを区分けするロール型のビニール袋に、爪が大量に詰め込まれていた袋が定期的に捨てられていた。これを勝手に爪袋と呼んでいたのだが、とても1人分とは思えなかったのが気がかり…。
[/box]
いくらプライバシーの侵害だといっても、マンション管理人も普通の人。変なゴミには、目を奪われてしまうことくらいある。見られてマズイもの、見られたら頭がおかしいと疑われてしまいそうなものは、ちゃんと小分けして捨てましょう。