弊社は、様々な媒体で芸能ニュースを書いている。芸能人の話したこと、やったことを元に書く記事の中に、ブログやSNSでの発言を記事にするというのがある。この数年で、芸能人の大多数が、自らの考えをつづり広く伝えるツールを持つようになった。
昨年の8月31日、歌舞伎俳優の市川海老蔵がブログで、すでに闘病中であることが公になっていた妻の小林麻央さんが翌日に“重大発表”をするとつづった。様々な憶測が流れたが、果たして翌9月1日に発表されたその内容とは、“小林麻央ブログ開設”だった。
もう誰かがブログやTwitterを始めたなんてことがビッグニュースになる時代ではない。重大発表の内容として勝手にいろんな憶測をしていた人はあまりにも身勝手に「肩すかし」だといい、ひどいところは単なる宣伝だとして「海老蔵、重大発表詐欺」なんて書いた媒体もあった。
しかし、僕はこれは大変なことだと思っていた。麻央さんの病状の詳細は知るよしもないが、麻央さんが命を振り絞ってつづる命の記録になるのは確実だからだ。
表には出ずに病気と戦うほうがはるかに楽であるにもかかわらず、生きた証として、そして癌患者であるということをアイデンティティのすべてにしないため、力強く人生を歩んだ女性であるため、子供たちにとって強い母であるために、自ら発信する道を選んだ麻央さんの勇気と強さに僕は涙し、これまでに例を見ないこのブログを見守っていこうと決意した。
当然、麻央さんのブログの内容は何度となく記事にした。麻央さんが必死に伝えようとしている、残そうとしている言葉であるのだから、注意深く記事にしてきたつもりだ。
麻央さんは、自身の体調のことや、根治のための治療でなくQOL向上のための手術を受けたことなど、包み隠さずつづる。その強さは、一時退院のときや自宅療養に切り替えたときなどに一部で楽観的な報道が出るほどだった。それほどまでに、強かった。最後まで前を向いていた。
3日前に更新されたブログの最後のエントリーは「朝から 笑顔になれます。皆様にも、今日 笑顔になれることがありますように」で締められている。僕は、こんなに強い人を見たことがない。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。