デキる人材を常に探しているのはどこも同じ。
弊社もしょっちゅう求人を出していますが、この業界で働きたいという人はなんだかんだで多いらしく、応募数はかなり多いんです。正直、採用って他のどんな仕事より大変。
それなのに、「もうちょっと熱意を示そうよ……」という人や、中には「数撃ちゃ当たるくらいにしか考えてないんじゃ……」と言いたくなる残念な人もいたりします。こっちも真剣に選んでるんだから、皆さんにも本気で自分をプレゼンして欲しい。
そこで、そんな「残念な例」を、できるだけ具体的に解説。不採用の理由とともにアドバイスします。
これを読めば、マスコミ業界の就職にきっと役に立つはず!
【CASE02】
『得意ジャンルは多岐に渡ります』(50歳男性)
得意ジャンルは、旅、デザイン、建築、アート、写真、雑貨、映画、音楽、舞踊、演劇、自動車、自転車、ファッション、コスメ、食、書評、お悩み相談など多岐に渡ります
編集・ライター歴20年以上のベテランの方で、こういうことを言ってくる人がいました。
僕も、営業をする上でHEWを売り込むとき、つい「あんなこともできるしこんなこともやってる」という話を羅列してしまいがちなんですが……いざそれを言われると、何も残らないということに気づいたんです。
ジャンルを列挙することに意味はない
こういうことを言ってくる人って、「○○がやりたい」「自分の○○を活かしたい」じゃなくて、「なんでもできるのが自分の強み」と考えてるんだと思います。でも、それだとこちらもどうしていいかのかわからない。光る部分が見えないわけです。
や、本当に武器になる「専門」をそれだけお持ちならいいんですよ。というか、本当にお好きなんだとは思います。
でも、こちらは「どれだけ造詣があって」「どれだけ深掘りできて」なおかつ「どれだけ噛み砕いて書けるか」が知りたいわけです。
それに対してジャンルを列挙するだけ、「なんでもできます」というプレゼンでは、「なんでもそつなくこなせるんだろうな」くらいにしか思えない。印象に残らないんです。
そつなくこなす人って多いんです
はっきり言います。何でもそつなくこなす人は、いくらでもいるんですよ。たとえそれが自分の強みだとしても、その中からアピールポイントをピックアップして「見出し」を作り、相手に合わせたプレゼンをする。それが自己PRだと思います。
同じように「“エンタメ”全般が得意なので」という人も、もう少し考えてみてください。
確かに弊社はエンタメ系のコンテンツをたくさん手掛けていますが、例えば音楽ひとつ取ってみても「洋ロックに詳しいスタッフ」「地下アイドルに詳しいスタッフ」「ラップに詳しいスタッフ」「世界中のローカルな音楽に詳しいスタッフ」「メタルに詳しいスタッフ」それぞれがいるんですよね。そういう人には、得意な仕事を安心して振れる。
僕らの仕事はスペシャリストであることよりもジェネラリストであることのほうが多く求められるのは事実ですが、スペシャリストにその分野で勝てるジェネラリストはいません。
「なんでもできる」は「なにもできない」と同義だとはよく言われることです。全般が得意という人がファーストチョイスになることはないんじゃないでしょうか。
ただ、あまりニッチな分野や、あまりにも競争が激しい分野でスペシャリストになっても食っていけないんで難しいところではあります。そこは個人のセンス、先を見る目ですよね。
今回の例では、最後に挙げられている「お悩み相談」だけは非常に興味深かった。「得意ジャンルは『お悩み相談』」という人は今まで会ったことないので、そこを押していけば可能性が開けるかも!
開けないかも。