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【食戟のソーマ最新話レビュー】なんで創真がかけ算できないかがわかんないからよくわかんない第288話「破格の定食」

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約3分

「かけ算」て主人公っぽい。友情や相性で、普段のパワーが何倍にもなる。数多の主人公たちがかけ算を利用し、強敵をやっつけてきている。過去に創真も、「この食材とこの食材を掛け合わせると〜」みたいなことは腐るほど言っている。

なんかシンプルなおはだけ久々な気がする

「THE BLUE」第二の門の課題「コンビニの商品を使って100ドル以上の価値ある皿を作ること」の隠されたテーマは、「かけ算」だった。平凡な食材を上手いこと掛け合わせ、価値を何倍にも高めろとのことだ。

前話で創真は「即席!牛肉缶すき焼き御膳」を作るも、「足し算」と評価され、あえなく失敗していた。そして、この課題でのピンポイントライバル・司瑛士は、惣菜ハンバーグ、チキンサラダ、冷凍パイシートを使用して「デミグラスソースで味わうビーフ&チキンの共演」を作り上げ、587ドルという価値を作り出していた。どこがどうなると足し算で、なにがどうなるとかけ算なのか、その納得のいく説明は省かれたが、司瑛士は「かけ算」をしたらしい。

これに対して創真は、コンビニで食材を買い漁り、常人離れしたスピードで調理、二段の重箱が一杯になるほどの品目で埋め尽くされた「季節外れの必殺!おせち」を創り上げた。審査員のランタービは不満そうな表情を浮かべるが、食べ進めるうちに、“どこから食べ始めても成立するコース料理”だということに気付く。そして、作品内でも久々となる、全裸に近い“おはだけ”を見せ、創真は合格に至った。

答えだけ提示された感じ

「食材×食材」ではなく、「料理×料理」のかけ算か! なるほど!

と思ったが、そうではなかった。ランタービいわくこのおせちは「足し算のごり押し」。単純に安い食材をたくさん足すことで、1万円に届かせたということのようだ。「かけ算をしろ!」の問いに、「足し算をしまくる」は泥臭くてジャンプっぽい主人公の正答だ。自分にできることで、自分の目線で相手に納得させる。本当に良い結末だと思うのだが、その過程がいまいち納得できない。

「なぜ、創真はかけ算ができないのか?」「なぜ創真が作ったおせちが、“どこから食べ始めても成立するコース料理”」なのか。これが一切説明できていないのだ。以前から「食戟のソーマ」は勢いで展開させてしまう説明不足の傾向があった。しかしそれは、「説明が多すぎる」「内容が細かすぎる」などの理由からの割愛だったように思える。納得できなくとも、意図の方向性とその材料は最低限提示していたように感じていた。

しかし、ここ最近の「食戟のソーマ」は、制作側が勝手に作り上げたルールと答えを提示しているだけで、リアリティがない。嘘でも本当でも浅くても深くても、なぜそうなったかの理由だけは、現実世界に寄り添って答えないと、グルメ漫画は絶対に成立しない。

特に「THE BLUE」に入ってからは、話を派手にするだけ派手にして、根本の部分を蔑ろにしている感じがする。創真がスタジエールに励んでいたあの頃の「食戟のソーマ」に戻って欲しい。

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