前話で参戦が決定したなにやら仰々しい世界大会「THE BLUE」。クライマックス感というよりは若干“この漫画を終わらせにきた感”すら漂う「THE BLUE」。世界中の35歳以下の若手シェフが一同に会する「THE BLUE」が、なんだかおかしなことになっている。
押し込んだね、田所恵&タクミ・アルディーニ
歴代の遠月学園一席の中でも有数の実力者・堂島銀ですら出場が叶わなかった「THE BLUE」に、なんと現十席の田所恵と七席のタクミ・アルディーニがしれっと参戦。出場枠が拡大した雰囲気もあるので、まだギリギリ、タクミ・アルディーニの出場はわかる。だが、田所恵の出場はなかなかの忖度参戦だ。人気キャラを出すのは当たり前だけど、それなりの理由がほしいところ。
そしてもう1つ。世界中から集まるハズであり、イギリスかフランスが主催っぽい雰囲気バリバリの「THE BLUE」が開催された場所は、なぜか日本のとある城郭。持ち回りでたまたま日本だったとしても、これまた説明が欲しいところ。カッコイイお城で戦う画が欲しいのはわかるが、けっこうぶち込んだ感が強い。
これまでにも「食戟のソーマ」はなかなかの急展開を要してきた漫画だが、ここのところ理由のない超展開がちょっと目立つ。もしこれが連載終了への夕焼け小焼けだとしたら、35歳筆者がいよいよジャンプ離れをしてしまう予感。
モブの出し方がお上手
最近の少年漫画にとって必要不可欠な描写が、強そうで得体の知れない“モブキャラ”を出すことだ。「やべーぞこいつら!」と思わせておいて、その後に出る本命キャラが引き立てる。
「THE BLUE」に出場したモブキャラはとにかく強そうだ。田所が説明してくれた。
「ミラノの二つ星でシェフやってる人だよ!」
「あっちは、美食コンペを総なめにした料理人!」
「ニューヨーク、リヨン、サンセバスチャン……」
美食コンペを総なめだなんて、よくわからないが世界最高峰の料理人ではないのだろうか? そんな奴らが、眼すらちゃんと作画されないモブキャラ。そして次に意気揚々と登場したのが、裏の料理人“ノワール”だった。
兎のマスクを被る者、拳法着を着たピエロメイクのデブ、35歳以下とはとても思えない立派な白髭を蓄える者、武装戦線の玄場寿みたいな格好の者、フルフェイスのヘルメットにタイヤみたいなのを背負ってる者など、総勢8名。およそ料理漫画に出てくる様な風体とは思えない男たちが、見開きで登場した。一体どんな料理が得意で、どんなバックボーンを持ち合わせているのだろうか?
さすがノワール! とんでもない異常者どもの集まりだ! と思わせた後に登場したのが、今回のラスボス才波朝陽。急に出てきた普通のイケメンの登場で、さっきまで出てきた異常者どもが急に安っぽく見える。つまり、「世界トップクラスの料理人<異常者集団ノワール<才波朝陽」という二段階のモブキャラの使い方で、才波朝陽の強さが引き立つ構造になっているのだ。実に少年誌らしい、キャラの切り捨て感が実に気持ち良い! 中華ピエロデブや兎マスクはともかく、フルフェイスタイヤ男の料理姿だけは見たかったけど。
黒幕がモニター越しに、、、
「THE BLUE」のルールは、大会の黒幕がモニター越しに説明した。三つの門が存在し、それぞれ試練が用意されているという。これに創真は、「なんでこういうボスの人って、モニター越しに話したがるのかねぇ」と触れる。
これがクソ怪しい。
漫画あるあるを指摘し、軽く笑いっぽい描写を作った風にも見えるが、実際はここで黒幕の正体に触れて読者の印象に残しておこうというこの感じ。黒幕が知り合い、もとい父親・城一郎のように見えてならない。黒幕が城一郎なら、日本で開催されたことも、田所とタクミが出場していることも成立する。前話で創真に大会招待状を渡したこともだ。これは城一郎で決定なのかしらん。
第二の門、第三の門は、シード的な形で新しい出場者が参戦するよう。このフリーダムな設定はけっこうな前のめり設定だ。第二席の一色慧、総帥の薙切えりな、前一席の司瑛士、それどころか創真の師匠でもある四宮小次郎辺りが出てきてもおかしくない形になっている。ご隠居系はともかく、レジェンド級のキャラ総登場もあり得るのだ。ま、そうなったら本当に最終回だから出てきて欲しくないけども。