久しぶりに伊武崎が燻した。最近では少年漫画でお馴染みの落ちぶれパターン、解説キャラに成り下がりかけていた伊武崎峻が、たったの一コマだけど燻した。
燻製フランクルト、燻製カレー、燻製イカ焼きと、それほど目新しいメニューはなかったが、伊武崎の料理は、めちゃくちゃ食戟のソーマしてる。
「食戟のソーマ」は王道ジャンプ漫画
この漫画の魅力の一つは、キャラクターの多様性だ。少年漫画お決まりの一人一つの特殊能力バトル。それをこの漫画は“得意な調理法”、“得意な食材”という形で料理バトルにしている。普通の特殊能力バトルだったら、炎が扱えるだとか、凍らせることができるだとか、眼にも止まらぬスピードだったり、とんでもない怪力だと、パターンはたくさんあっても、どこかのバトル漫画にどうしても似てしまう。
それは仕方ない、王道バトルものの少年漫画なんて数百は存在するだろうし、特殊能力なんてむしろMARVELシリーズだけでほぼ網羅している。そこからムリヤリ捻くると、どうしてもわかりづらくなるし、矛盾も生まれやすい。だからこそ、「HUNTER×HUNTER」「ジョジョの奇妙な冒険」みたいに複雑なルールを要する能力でも押し切って読ませてしまう漫画家はすごいんだけど。
「ONE PIECE」と絶対被らないキャラクター性
その点、食戟のソーマのフィールドは料理。ベタでわかりやすい特殊能力が出てきても、「ONE PIECE」とまず被らない。これは、少年漫画にとってすさまじいアドバンテージだ。キャラクター作りを行う際の注意点が段違いに少ない。
だから「食戟のソーマ」はキャラクターを量産することができる。大衆料理が得意なヤツ、イタリアンが得意なヤツ、神の舌を持ってるヤツ、海鮮が得意なヤツ、鼻がめっちゃ利くヤツ、最先端の科学を駆使するヤツ、店の経営が上手いヤツ、薬膳入れたがるヤツ、ホスピタリティに溢れるヤツ、食材を生かすことしか考えてないヤツ、ゲテモノ料理ばっかり作るヤツ、ジビエ使いたがるヤツ、すぐ発酵させるヤツ……そしてなんでも燻したがるヤツだ!
これだけキャラを出しまくっても、「NARUTO」や「BLEACH」、「僕のヒーローアカデミア」とキャラクターが被らないのだ。「将太の寿司」とか「鉄鍋のジャン!」とはちょっと被るけど。
何でも燻すヤツ、伊武崎峻。1コマで活躍を説明できるわかりやすさと、他の漫画にないオリジナリティが同居するキャラクターだ。こんなヤツがアホほどいるのが「食戟のソーマ」のいいところ。
これから王道長編に入る展開っぽいけど、なんか臭いなーと思ったら、500m先で“臭いの大好き”貞塚ナオが、くさやとシュールストレミング煮込んでましたーみたいな、そんなキャラ描写がバンバン出てくる息抜き回をもっと見たい。