西野監督の采配が物議を醸している日本ですが、どんな形であれ、決勝トーナメント進出はすばらしい結果です。開幕前、僕は余裕で3連敗すると思ってイキり散らしていたので、なんにせよキチンと謝らなければいけません。
本当に申し訳ありませんでした。
フットボールの否定、ギャンブルの肯定
ヴォルゴグラードの酷暑の影響でしょうか。ポーランドも日本もプレーの強度が低く、試合は前半からずっと退屈でしたね。ただ、西野朗という個人の博打としては、これ以上なく大がかりで狂気に満ちたものでした。
僕が思い出していたのは、福本伸行の名作『銀と金』のことです。作中、主人公の森田鉄雄はギャンブルの本質について問われて、こう答えています。
真っ暗な崖を前にして、ただ飛ぼうとする行為。それがギャンブル
昨晩、西野監督は裏で行われていたコロンビア対セネガルの結果にすべてを委ねて、残り10分の段階でフットボールを放棄しました。その決断が他力本願ということで批判を浴びているわけですが、他力本願だからこそ極めてスリリングな、より純粋な賭けになった。橋をかけたりロープを探したりするのではなく、ただ真っ暗な崖からジャンプするほうを選んだわけです。
結果的にそのギャンブルは成功しました。それがすべてだと思います。試合後、午前2時ごろに靖国通りで拾ったタクシーの運転手さんが、しみじみとこう言っていました。
「西野さん、よく今まで破滅せずに生きてこれましたね」