なんか日本強くないですか? 特に中盤の柴崎岳っていう選手がマジで天才だと思うんですけど、みなさんはどう思いますか? あと、開幕前から日本代表と日本サッカー協会をネチネチとディスっていた僕はそろそろ謝ったほうがいいんでしょうか?
そんなわけで、たまには僕たちの日本代表の話をしましょう。日本というフックがなくても熱中してしまうくらい、昨晩のセネガル戦は楽しくて美しい試合でした。金曜日の夜から今朝にかけて行われた9試合の中でも、ブラジル対コスタリカやドイツ対スウェーデンに負けず劣らずの激闘を見せてくれましたね。
ただ、そんな美しい試合にケチをつけるとするならば、やはり川島永嗣のミスによる1失点目のシーンということになるでしょう。
なぜ川島永嗣を起用し続けるのか
ここ最近の日本代表の試合を見ていて、サッカーファンもそうでない人も、どうしても納得できないことがあるはずです。
なぜ正ゴールキーパーが川島永嗣なのか。
ただの素人でしかない僕がこの疑問に答えるのは難しいですが、参考になりそうなものとして、U-20ホンジュラス代表でGKコーチを務めた経験もある山野陽嗣さんによる「代表正GKは、川島永嗣でしかあり得ない。専門家がみる3つの理由」という記事があります。
参考 代表正GKは、川島永嗣でしかあり得ない。専門家がみる3つの理由
山野さんは「明白な差があるものを説明するのは難しい」として、そもそも川島が他の日本人GKに技術、フィジカル、経験において圧倒的に勝っている、と技術論を交えながら丁寧に説明し、ミスが多いという指摘に対しても「試合に出ないとミスすらできない」と反駁しています。
素人の我々としては、それにしてもポカミスが多すぎやしませんか、という話がしたいのですが、「じゃあ東口ですか、中村航輔ですか。現場で見たけど、彼らよりも川島の方が明らかに上ですよ」とあらかじめ釘を刺されているわけで、釈然としない気持ちを抱えながらも「専門家が言うのならしょうがないか」と思うしかありません。
約1年前の記事なので、現時点で誰が一番優れているのか、という話になるとまた違ってくるのかもしれません。いずれにせよ、ここはちょっと考え方を変えてみる必要がありそうです。
川島永嗣は、サッカーの本質を体現した存在だった
第一に、誰がもっとも能力の高いゴールキーパーか、という視点がよくないのかもしれません。観戦者にとってサッカーはあくまでも娯楽であり、やいのやいの言いながら試合を見るのが楽しいわけで、プロだからといって全員が極度に洗練されたプレーばかりを披露していたら、ゲームはきっと退屈なものになってしまうでしょう。
実際、バカげた失敗が美しいゴールに直結するケースは多々あります。今回のW杯でも、アルゼンチンのGKカバジェロのパスミスからレビッチのスーパーボレーが生まれていますよね。サッカーはミスをするからこそ面白いスポーツなのだとよく言われていますが、僕も本当にそう思います。
そういった意味において、川島永嗣はサッカーの快楽を見事に体現した存在です。どんな試合でも必ず1~2回は私たちをドキドキさせてくれるうえに、PKストップなど望外のビッグセーブまで見せてくれる。そしてなにより、ゴールされようがされまいが、彼の大仰な横っ飛びほど艶めかしい画を控えのゴールキーパーたちは提供できるのでしょうか?
今回責められるべきは、川島がミスをしたことではなく、川島がミスをした結果生まれたサディオ・マネのゴールが美しくなかったことなのです。
勢いに任せてめちゃくちゃなことを書いてしまいましたが、サッカーにはこういう考え方も必要ではないでしょうか? 勝ち負けばかりにこだわっていては大切なサムシングを失ってしまう。楽しむこと。それはまさにサッカーの本質です。川島永嗣は、プレーを通じてそんなことを僕たちに伝えたいのかもしれません。