単独首位っつったって、まだ序盤も序盤、4月半ばだ。だから、6連勝で最下位から全チームゴボウ抜きで一気に首位に立つなんておかしなことが起こる。だいたい、4月16日現在、8連勝中なのにトータル9勝5敗って、連勝の前は1勝しかしてなかったってことですぜ。
継投失敗を帳消しにした巨人戦
しかしながら、僕はもう今季の優勝を確信している。否、せざるを得ないと言ってもいいだろう。大型連勝中なのだから現在のチーム状態がいいのは言わずもがなだが、連勝自体だけでなくその勝利の内容がいいのだ。
2連勝目、8日の広島戦は筒香のお目覚め2発で快勝した。去年は開幕から21試合ノーアーチが続いただけに、今季もあまりスロースタートだと周囲が余計な心配をしてしまいかねないところ、8試合目でしかも2発。どれだけチームやファンを安堵させたことか。
続く巨人戦の“継投失敗を帳消しにした”2試合の大きさも計り知れない。ベンチのミスではなく織り込み済みの継投だったとはいえ、好投した先発を下ろした後に逆転された2試合。最悪の負け方もあり得たところを、集中打で再びひっくり返してみせた。先発投手も、打たれた中継ぎ投手も、そしてラミレスをも救った勝利と言えるだろう。
そして、早くも“今年を振り返ったときにここがマイルストーンだったと言われるであろう”試合があった。それが、6連勝目の13日の中日戦だ。
早くも今季の分岐点となる試合に
今季の横浜の目玉は、ラミレスが「最後の1ピース」とまで言った大和の獲得と、ショート大和・セカンド倉本という配置転換だった。それだけに、開幕戦の先頭打者の打球を大和がエラーしたとき、大和も倉本もラミレスも顔面蒼白になった。このたった1つのエラーは案の定失点に繋がり、敗戦にまで結びつく。これがもう、これ以上ないくらい横浜の出鼻をくじいた。結局、開幕5試合で4敗するほど尾を引いてしまう。さらに大和は打撃不振にも陥り、大和本人にとってもチームにとっても辛い試合が続いた。
そのもやもやが13日の試合で瓦解する。両打ちをやめ右打ちに専念し始めた大和が、2本の殊勲打を放ち移籍後初のお立ち台で笑顔を見せたのだ。さらに、ペアである倉本も自らの守りのミスを消す3安打2打点をあげ、大和とともにお立ち台に上がった。この日以降の2人の安定感たるや、である。
さらに、巨人の上原、澤村に続きこの日は中日の又吉を打ち崩した。相手の勝ちパターン投手を打っての勝利は、チーム力が上がった証左にほかならない。
2年連続で開幕投手を務めながら勝ち星がなかった先発の石田が初勝利を挙げたのもデカい。しかも、登板過多の中継ぎ陣を休ませようと石田を引っ張った結果、勝ち星がついたという好循環だ。
そして、最後は1点差にもかかわらず連投の山崎康晃を休ませ、今季からセットアッパーに転向した井納を9回のマウンドに送り出し見事に試合を締めてみせた。チーム事情を考慮し、目先のことではなく先々まで見据えた采配をしながらの勝利。やること成すことハマったこの勝ち方を、強いチームの勝ち方と言わずなんと言うのか。
これ以降も横浜は勝ち続け、連勝は8にまで伸びている。連勝の前半は勢いも手伝っての勝利もあったが、13日以降は地力を見せての連勝。まだまだ伸びるだろうし、ストップしたとしてもそこから大崩れにつながることはあるまい。なにより、ケガで出遅れた先発3本柱も帰ってくる。シーズン開幕直後は、3人が帰ってくるまでは「我慢」のときだと誰もが思った。しかし今では、3人の不在も層の厚さを際立たせる演出に思えるほどになっている。そんな強さが確固たるものになったのが、13日の中日戦だったのだ。みんな覚えといてね。