いやいやいやいや!
杉田がティームに勝っちゃったよ! 世界7位のティームだよ! クレーコートシーズン、1勝も挙げられず苦しんでいた杉田だったが、ようやく長いトンネルから抜ける兆しが見えてきた。
芝だし、期待せずにはいられない
初のATPツアー優勝を果たすなど、世界ランキング100位圏外から自己最高の36位にまで上昇し大躍進の年となった昨年から一転、今年の杉田はなかなか調子を上げられずにいた。全豪1回戦でソックに勝ち、最高のスタートを切ったかに思われたが、その後はなかなか波に乗れない。しばらく名前を聞かないと思っていたら、3月以降は9連続初戦敗退を含む10連敗とかしていたらしい。
その端緒が、2月のデビスカップにあると見て間違いないだろう。錦織不在でエースとして臨んだデビスカップで、杉田はセッピに勝利するものの、切れそうで切れないフォニーニに4時間の死闘のうえ敗れ、日本のデビスカップ1回戦敗退が決まってしまった。
フォニーニは3日連続の試合で、明らかにコンディションは万全ではなく、試合中もいつ切れてもおかしくないように見えた。まあ、でも、フォニーニのムラっけはいつものこと。のらりくらりから一転ものすごい強打を打ち込んできたり、なんかクレームをつけてきたり。結局、杉田はマッチポイントを握ったもののも勝ちきれず、日本はフォニーニ1人にやられた格好となった。
で、そんな悔しい敗戦が尾を引いたのか、クレーシーズン全敗と調子を上げられないなか迎えた芝のシーズン。リベマ・オープンで久々に勝利を挙げ連敗を脱出すると、ゲリー・ウェバー・オープンでも1回戦で勝利。そして20日、2回戦で第3シードのティームを見事下したのだ。
ナダルを止め、全仏で錦織に勝ち、準優勝したあのドミニク・ティームですぜ。“次世代クレーキング”と呼ばれクレーに強い選手ではあるけど、芝でも危険には違いない、ビッグ4に次ぐ存在の一人と言われている選手ですよ。それをストレートで破るなんて、杉田自身がオンコートインタビューで「テニス人生最高の試合だった」と言ったのも決してリップサービスではないのではないか。
そうそう、そうだった。杉田は芝が得意なんだった。去年のATPツアー初優勝も芝の大会だ。テニスに限らずスポーツは1試合でガラッとメンタルもコンディションも上向くことがある。トンネルから光明が見えたどころか、一気に抜け出してしまったとしてもおかしくない。次の試合、準々決勝の相手であるクドラは問題ないだろう。そして準決勝でいよいよ、ロジャー・フェデラーと当たる。
言うまでもなくフェデラーは今大会の大本命、第1シードだ。杉田はフェデラーに対して過去0勝2敗。特に去年の同ゲリー・ウェバー・オープンでは完膚なきまでにやられている。しかし、その次の大会で杉田はツアー初優勝を飾っているのだ。敗戦を糧に成長しただけでなく、大きな経験も手にした。29歳、最も脂の乗ったときだとも言える。フェデラー戦といえども、期待せずにはいられない。
あ、ちなみに、この大会であっさり敗退した錦織ですが、ダブルスにもエントリーするなど完全にウィンブルドンに向けた“芝に慣れるための調整期間”なので心配ないです。