人は簡単に育児ノイローゼに陥ってしまいます。
夫の仕事が忙しいがために、一人でディフィカルトベイビーを育てるママさんもたくさんいると思います。それはそれは大変なことでしょう。
そこで、『すべてのディフィカルトベイビーを持つママさんへ〜子育ては地獄だから大丈夫〜』と題して、大変な子どもはたくさんいるよ! あなたの家だけじゃないよ! Facebookやブログは、良いところばかり切り取ってるだけだよ! 腹が立つったらないね! ってことを、僕の体験談をもとに伝えていきたいと思います。
少しでも共感してくれたり、コイツよりはマシだなって思ってくれたら幸いです。
今回は娘を友人夫婦に見せに行ったときのひととき。
友人夫婦に娘を見せに行く
娘が1歳10ヶ月ぐらいの頃。友人夫婦が子どもを見たいということで娘と2人、公園で待ち合わせをしました。
その日は妙に機嫌が良く、ベビーカーにも大人しく乗り、電車の中でもニコニコ、友人夫婦に会っても人見知りもせずに超ご機嫌! 公園でも楽しそうに走り回っていました。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”sawapapa.png” name=”友人男”]かわいいな〜。子供って癒されるな〜[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”pink” subtype=”R1″ icon=”sawamama.png” name=”友人女”]ねぇ〜早くうちらも子供欲しいねぇ〜[/speech_bubble]
友人夫婦は、仕事や年齢などを考えて2、3年後には子どもを作りたいと考えているらしく、前から娘と遊んでみたかったそうです。まぁ、プレ育児的なことですね。
「かわい過ぎる」「育児頑張って偉い」と、友人夫婦は娘ともども僕を褒めてくれて、すごく気分が良い。
僕が得意になって育児についての講釈垂れると、「へぇ〜そうなんだ〜?」「すごい!勉強になる!」と、頷きながらメモまで取る始末。
調子に乗った僕は、育てたこともない双子の育児についてまで語ってしまいました。
すると突然、育児素人の友人夫婦はとんでもないことを言い出したんです。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”sawapapa.png” name=”友人男”]この近くに○○○(某有名しゃぶしゃぶ店)あったよね。もう2時だし、たぶん空いてるから行ってみない?[/speech_bubble]
僕の娘、ディフィカルトベイビーとしゃぶしゃぶ・・・。
嫌な未来しか見えません。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”sawasawa.png” name=”僕”]いや〜ちょっと、娘が騒いじゃうと難しいかも・・・[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”pink” subtype=”R1″ icon=”sawamama.png” name=”友人女”]こんな良い子なんだから大丈夫でしょ〜? 野菜も摂れるし、いいじゃんいいじゃん。美味しいパンケーキ屋さんもあるからそこも行こう![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L2″ icon=”sawasawa.png” name=”僕”]なにが『野菜も摂れるし』だ! 『美味しいパンケーキ』だ! 知ったような口利きやがって! 娘が茹でた野菜なぞ食うか! しゃぶしゃぶを目の前にしたら、ヤケドなんてお構いなしに鍋をひっくり返すぞ! パンケーキなんて食いに行ったら生クリームまみれになっておしまいだ![/speech_bubble]
…と、普段の僕なら大声で一喝し、娘のディフィカルトっぷりをコンコンと語っているところでしょう。
しかし、娘ともどもおだてられていた僕は、「意外と平気かも・・・娘も機嫌良いし」と、二人の提案を受け入れてしまいました。
隣のお客さんは妊婦さん
席に案内されると、隣の席にお腹が膨らんだ女性とその旦那さんらしき人が座っていました。
その二人は我が娘を見て「わぁ〜かわいい〜」「やっぱりいいなぁ」と、色めき立っています。もうすぐ生まれる子どもと娘を重ね合わせているのです。
友人カップルもなんだか誇らしそう。店員の若い女性は「大人しくて偉いですねぇ〜」と、その場の「うちの娘良い子ムード」は高まっていきました。
笑い声が響く店内、笑顔の友人夫婦と隣の妊娠夫婦。
そうか、子どもが幸せを運ぶってこういうことをいうんだな。
気分が良くなった僕は、ワンランク高い食べ放題コースを注文しました。
ありがとう、娘。ありがとう、世界。
このとき僕は、あまりにもの幸せな空気に我が娘が地獄の住人だということを完全に忘れていたのでした。
アンパンの悪魔
鍋と具材が運ばれてきて、さぁ食べようとみんなが息巻いた瞬間、娘は
「あーんぱんまーん!」
と、大人気キャラクターの名を叫びながら、子ども用スプーンを席の後ろに投げ捨てました。僕が慌てて拾いに行くと、今度はフォークを
「あーんぱんまーん!」
と、友人夫婦に向かって投げ始めました。
やばい、これはやばい。
この瞬間夢から覚めた僕は、すぐさま娘の手の届く範囲すべての食器をどかし、とにかく鍋にだけは近づかないように、娘が座る子ども用椅子をテーブルから遠ざけました。
子育てをしたことのない友人夫婦と隣の妊娠夫婦は、まだ「あら〜はしゃいじゃって〜」「ご飯嬉しいね〜」などと、笑顔を浮かべています。これから起こる惨劇をまったくもって想像できていないのです。
僕はバッグからベビーチェアベルトを取り出し、椅子に括り付けようとすると、娘は全力で叫びながら拒否しました。
「あんぱんまん、あんぱんまん、あんぱんまぁあああぁあん!!」
この時期、娘が使う単語の9割はこの人気キャラクターの名前でした。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”sawapapa.png” name=”友人男”]嫌なんだよね〜?[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”pink” subtype=”R1″ icon=”sawamama.png” name=”友人女”]動けなくなったらかわいそうだよ[/speech_bubble]
バカ丸出しです。うちの娘をまだ大人しくて良い子だと思っているのです。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L2″ icon=”sawasawa.png” name=”僕”]状況をちゃんと把握しろ! 思い上がりが小さなミスを大きくしてしまうんだ![/speech_bubble]
僕がこの二人の上司だったら、毎日こう怒鳴り散らしていることでしょう。しかし、ただの友人にそんなことをいったら嫌われるのがオチ。
「えへへ。そうかなぁ」と、ヘラヘラしながら娘を再度椅子に括り付けます。
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> ずぁあああぁあぁあんぱんまぁああんん!!!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
今日一の爆音で、娘は顔がアンパンの男の名前を叫びました。
必死であやすも、一向に泣きやまない。娘は自らが座っている椅子を倒さんばかりのパワーで暴れまくります。いったん落ち着けるため、ベビーチェアベルトを外してもそれは変わりません。僕がベビーチェアベルトをバッグにしまうその一瞬のスキを見逃さず、「あんぱんまーん!」と、子供用椅子からの落下を試みます。もう目的もわかりません。
なんとかそれを阻止し、抱え上げても、なお暴れる。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”sawapapa.png” name=”友人男”]お腹へってるんじゃない?[/speech_bubble]
それだ! たまにはいいこと言うじゃねーか!
僕は左手で娘を抱え込み、右手にサイ箸を持ち、急いで肉をしゃぶしゃぶ。ポン酢につけて氷で冷ますと、すぐさま娘の口に放り込みました。
娘は肉を咀嚼するため、一瞬大人しくなりますが、飲み込むと元通りのアンパンマン悪魔に逆戻り。仕方なく、僕は片手で抱っこしながらしばらく娘のためにしゃぶしゃぶし続けました。
その後も、「あんぱんまーん!」と店内を走り回ったり、「あんぱんまーん!」と薬味のもみじおろしを食べさせろとせがんだり、「あんぱんまーん!」と辛さに耐えきれず号泣したりして、この日の食事を終えました。
帰り際、隣の夫婦に「お騒がせしてすみません」と、謝ったら『はい。頑張ります』と、お腹をさすっていました。
不安な気持ちにさせてたいへん申し訳ない。
子どもの長所を見る
最後に、僕の育児において我慢の秘訣を1つ。それは子どもの良いところを見てあげること。
今回、紹介したい娘の良い所は、
「豚を食わずに牛を食う」
舌肥えてるね〜。