いとわズ

『俺たち文化系プロレスDDT』を見て「プロレスとは何か?」を考えたよ

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約5分

26歳女、2017年1月からプロレスを見始めました。

まだ何もよくわかっていないところから、よちよちと学んでいく記録です。

映画『俺たち文化系プロレスDDT』(監督:マッスル坂井、松江哲明)を見ました。こちらは2015年秋、東京・後楽園ホールにて開催された、HARASHIMA&大家健vs棚橋弘至&小松洋平の試合を追ったドキュメンタリー。

「そもそもプロレスとは何か?」という部分を考えさせられる作品でした。

今回は、「プロレスって八百長でしょ?」問題について現時点で私が出した答えの話です。

「全団体を横一列で見てもらっちゃ困る!」

DDTプロレスリングの年表を作るなら、2015年秋に東京・後楽園ホールにて開催された「#大家帝国主催興行~マッスルメイツの2015~」は太字でデカデカと載ることでしょう。話は、同年8月に行われたDDTのエース・HARASHIMAと新日本プロレスのエース・棚橋の試合にさかのぼります。

勝利した棚橋は試合後「俺は珍しく怒っているよ。舐めたらダメでしょ。全団体を横一列で見てもらっちゃ困る!」と怒りをあらわにするものの、その怒りのポイントがどこにあるかを周囲は読み取れず、皆がモヤモヤする結果となってしまいました。

最もモヤモヤを抱えただろうHARASHIMAに、棚橋との再戦の機会をプレゼントしたのが、男色ディーノとスーパー・ササダンゴ・マシン、大家健によるDDT内ユニット「#大家帝国」です。

DDTと新日本プロレスが極度の緊張状態にある中、彼らは自主興行のメインイベントとして、「HARASHIMA&大家健vs棚橋弘至&小松洋平」のタッグマッチを実現させたのでした。

一体何が起こったのかは映画を見ていただくとして、結果的に皆のわだかまりが消えて、まさに“大団円”という空気の中、イベントは終了したのでした。プロレスですべてを解決してしまった、この一連のドラマを記録したドキュメンタリーが『俺たち文化系プロレスDDT』です。

ちょっとはみ出す尊い感情

ここまで読んで、なんとなく「プロレスとは、ただ単に勝敗を見せるだけのものではないらしい」ということは感じてもらえたかと思います。

では、プロレスは勝敗以外に何を見せているのか、それはきっと“感情のやり取り”です!

私はアイドルも大変好きなのですが、最初にハマったのはAKB48でした。選抜総選挙、そしてじゃんけん大会は、八百長疑惑が長年ささやかれるイベントです。確かに納得しきれない部分はいくつかあり、半信半疑で見ているところがあるのも事実……。

しかし、それでも総選挙もじゃんけん大会も楽しいので、握手会に行かなくなった今でも毎年結果をなんとなくチェックしてしまう。なぜか? それは人間同士の濃密な感情のやり取りが見られるからです。

たとえある程度枠のようなものが定められていたとしても、その中で生まれる人々の感情は本物です。むしろ、決まりごとの枠の中で、それでもはみ出してしまった強い感情にこそ、私は尊さを感じる。

感情重視で競わせるスポーツ

サッカーだろうが野球だろうが将棋だろうが、なんだろうが。人と人とが競うすべてのジャンルにおいて、ちょっとはみ出る感情というものは、その一戦を輝かせます。プロレスの特異なところは、単純に「どっちが強いか?」という話と同じかそれ以上に、選手同士の感情を重視するところなのではないでしょうか。

だからこそ面白いのですが、だからこそ外野からするとわかりにくい。ただ、「プロレスって八百長なんでしょ? それなのに何が楽しいの?」と言われると、「そういうことじゃないんだ……!」と思う気持ちは理解していただきたい。

実際試合を見ていて、「これは段取りが決まっていないと不可能な流れだろう」と感じることはあります(逆に振り切ってコントとして成立させている試合もある)。それでも試合の中で選手が感じた思いは本物だし、もっと言うと、試合を見て私が感じた思いも本物だし!

「テラスハウス」ファンよ、ごめん

とはいえ、私もかつては恋愛リアリティ番組「テラスハウス」を楽しんで見ている人たちの気持ちがわかりませんでした。やらせ報道が出ても番組を見続けるファンを「一体何を楽しみに見ているんだ……?」と不思議に思っていました。

でもプロレスにハマってわかりました、反省!

「どこまでがガチなんだ?」と疑いながらも、展開される感情の濃さに圧倒されるのは、とても楽しいことですね!

ところで、お笑いタレント・プチ鹿島の著書『教養としてのプロレス』(双葉社)によると、プロインタビュアーの吉田豪氏は「ガチな感情をどうビジネスに使えるか考えること」と“プロレス”という言葉を定義づけています。

そういう意味では、「#大家帝国主催興行~マッスルメイツの2015~」とはこの上なくプロレスらしいイベントだったんだなぁということで、今後誰かに「プロレスとは何か?」を説明するときには、まず『俺たち文化系プロレスDDT』を見せようと思いました。

映画『俺たち文化系プロレスDDT』予告編

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