「歌って、踊って、闘える」最強のアイドルを目指す異色のグループ、アップアップガールズ(プロレス)のイエロー担当・ラクは、これまでほとんど運動経験がなかった。
あくまで自分がなりたいのはアイドル。プロレスというコンセプトにずっと馴染めなかった彼女が、今年5月、リング上で魔法にかけられた。
プロレスをするグループだと気付いたのは応募した後
—見た目もしゃべり方もふわっとした感じで、趣味は鉄道。こんな大人しそうな子が、なぜアプガプロレスを選んだんだろうと不思議に感じていました
「アップアップガールズに入れる!」という気持ちが先走って、(プロレス)っていうのをよく確認していなかったんです(笑)。応募してからプロレスをやるグループなんだと気付いて驚きました。今まで運動経験はダンスくらいしかなかったので、本当に未知の世界で……。
—じゃあリングデビュー前、東京女子プロレスの練習生扱いだったときは、結構つらかったんじゃないでしょうか?
今だから言えますけど、めっちゃつらかったです……(笑)。人生で一番つらいと思いながら練習に通って、東京女子プロレスの中でも「他の人ほどプロレスが好きじゃなくて申し訳ないな」という気持ちがありました。実は春頃、ミウちゃんから「もっとプロレスに対して前向きになってほしい」と叱られてケンカになったこともあるんです。
—それでもなぜ辞めずに続けられたのでしょう?
自分の中で、アプガプロレスがダメだったらもう芸能活動は諦めると決めていました。だから、辞めたいって考えながらも、本当に辞めるまでには至らず、ただ毎日道場に通い続けました。
—プロレスが楽しいと思えるようになったのはいつ頃でしょうか?
今年5月19日、東京女子プロレスの北沢タウンホール大会での山下実優さんとのシングルマッチです。「そのくらいの時期」じゃなくて、本当に「そこ!」で私は変わりました。試合直前までは、「今日も試合かー……」みたいな感じだったんですけど、リングに立った瞬間、パッと魔法みたいに気持ちが変わりました。
リング上で泣いちゃったんですけど、あれは怖いっていう気持ちの涙じゃなくて、自分でもわからないけど涙が止まらなくなっちゃって……。試合中はあっという間で、自分でもわからないところで自分が変わっていくのを感じました。
……今も思い出すだけで涙が出てきます。人生でも一番か二番くらいで印象に残る日でした。本当に、あの試合からプロレスを楽しく感じるようになったんです。
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東京女子プロレスのエースにして現チャンピオン
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—アプガプロレスのメンバーで山下選手と初めてシングルマッチをするのがラクさんというのは、観客からしても驚きでした
なんでだったんでしょうね? 今も理由を知りたいです。
—ラクさんが変わるきっかけになることを予想してのカードだったのかもしれませんね
鉄道好きならではの技が大人気!
—ラクさんは技の人気が高いですよね。ここまで観客に技名を覚えられている若手選手も珍しいです。とくに「おやすみエクスプレス」は、他の選手も真似してちょっとしたブームになっています
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リング中央でダウンした選手の身体の上を踏みつけた後、お腹の上で眠ってフォールする技
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鉄道に関係する技をやってみたいなと思って生まれた技なんですが、試合で1回披露して終わるつもりでした。もともとただの思いつきだったんです(笑)。先輩たちが真似してくれるのはすごく嬉しいです!
—8月25日の後楽園ホール大会で、新技「Maxとき」を初披露したときも会場が沸きました。間違いなく後楽園大会のハイライトのひとつだったと思います
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串刺しクロスチョップ
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そうですか? やったー!(笑)
—ほかにも「この鉄道の名前をつけたいな」というアイデアはあるのでしょうか?
最近ドロップキックをやりたいなと思っています。特急みたいな勢いで蹴るから、いつかドロップキックに特急の名前を付けられたらいいなぁ。
電車に乗るために電車に乗る“乗り鉄”
—そもそも、なぜ鉄道好きになったのですか?
親戚に運転手さんが何人かいて、お父さんも鉄道関係の仕事をしています。だから私も小さな頃から鉄道博物館に連れて行ってもらっていました。私はいわゆる“乗り鉄”で、車窓から見える景色が大好き。景色が変わっていくのを見ていると、なんだか「地球って広いな。自分の悩み事は小さいな」って思えるんですよ。
休日は新宿からロマンスカーで箱根湯本に行って、駅弁を食べながら車窓を眺めて、駅を降りたら10分くらいで帰りの電車に乗っちゃったりします。自分でも、もったいないとは思うんですけど(笑)。
—ガチの鉄道好きの人だ……! アイドルはどこからハマったんですか?
最初にハマったのは、当時モーニング娘。のメンバーだった久住小春さん。今でも私の理想のアイドル像です。ハロー!プロジェクトが大好きなので、事務所の系列的には同じアプガに入りたかったんです。
今の推しは決められないんですけど、佐藤優樹さん(モーニング娘。’18)に惹かれます。でも森戸知沙希さん(モーニング娘。’18)推しでもあるし難しい……! 王道アイドルが好きですね。
—アプガプロレスだとミウさんもアイドル好きですよね。ラクさんとミウさんは仲良しですが、アイドルトークで盛り上がることも多いんでしょうか?
ミウちゃんはオーディションのとき、たまたま私の次の番号で、待ち時間も一緒に話していました。だから、その子と今一緒にアイドルをやっているのは少し不思議な気持ちです。ひたすらアイドルの話をしているときもありますけど、基本的にはどうでもいい話をずっとしています。ラーメン屋さんの前を通るたびに「ラーメン食べたい」「ミウ、ラーメンあんま好きじゃない」ってやり取りをしてる(笑)。どうでもいい話をずっとできる関係です。
プロレスを始めて負けず嫌いになった
—今夏、個人で「ミスFLASH2019」のファイナリストに選出されたことも話題になりました
私は、プロレスでも勝ったことがないし、ダンスが上手いとか、歌が上手いとかもないので……。アプガプロレス4人の中で一番になれるものを探していて、たまたま「ミスFLASH2019」を見つけて、自分から応募しました。3人に負けたくないっていうのは、内心めっちゃ思います。
—ラクさんにとって、アプガプロレスのメンバーはどんな存在なのでしょうか? 試合で勝敗がはっきり決まるぶん、普通のアイドルよりライバル意識が強くなりそうですが
だからかな? だから「負けたくない」って気持ちが大きくなるのかも。プロレスを始めてから、私は負けず嫌いになったと思います。昔は勝ち負けにあまり興味がない性格だったんですが、今はまずメンバーに勝ちたいと毎日思っています。1試合1試合どんどん強くなっていきたいという気持ちが生まれました。
—自分の強みは何だと思いますか?
「おやすみエクスプレス」は、他のメンバーには絶対できない技ですよね。鉄道好きをプロレス技につなげることは私にしかできないことです。プロレスは単純な勝ち負けだけの世界ではないので、そこは武器だと思います。
—単純な強さ以外の魅力で言うと、ラクさんは“だんだんプロレスを好きになっていく過程”を見守るのが楽しいです。だからこそ多くの観客にとって、なんとなく目が離せない存在になっているんじゃないでしょうか
そういうふうに言ってもらえるのが、自分では信じられないんですよね。ふふふ(照)
—これからの目標を教えてください
海外に行きたいです! 海外で試合、海外でライブ、海外でグラビア撮影がしたい。もともと海外留学する予定だったんですが、アイドルになったので延期することになりました。だから活動を通して外国に行きたいなと思っています。
あとは1日駅長をやってみたいです……! とにかく鉄道絡みの仕事をしたいですね。DDTプロレスリングって、貸し切りの電車の中でプロレスをしたことがあるじゃないですか。次回開催される際は、ぜひ私も参加したいです!
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1997年12月5日生まれ、東京都出身。身長160cm。得意技は、脳天チョップと河津落とし。「おやすみエクスプレス」と「Maxとき」も人気。「ミスFLASH2019」ファイナリスト審査中。10月2日23時59分まで、こちらのページにて投票受付中。
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東京女子プロレスは、10月3日(水)19時より東京・渋谷DESEOにて、前半はアプガプロレスたちアイドルグループ3組のライブ、後半がプロレスのコラボイベントを開催。チケット情報などは公式サイトをチェック!
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