今、私は勝俣に興味津々だよ。
DNA(DDTの若手が主力となったプロジェクト)所属の勝俣瞬馬選手、正直これまでいまいち興味が持てなかった。女性人気の高いイケメンレスラーという時点で、まぁ自分が応援する感じの選手ではないな……と。
にわかプヲタである自分でさえ、技に粗削りな部分が目に付くのに、黒潮”イケメン”二郎とのシングルマッチなど、いい感じの対戦カードが組まれることが多いように感じて、これから本音を言う! 「”運営推し(運営から優遇されているメンバーを指すドルヲタ用語)”じゃん」と思っていた。
なので、彼が所属するアイドルレスラーユニット・NωAが今年1月に解散して、勝俣はALL OUTに移籍すると発表されたときも、自分はなんとなく冷めていた。現KO-D無差別級チャンピオン・竹下幸之介のユニットに加入するなんて、やっぱり美味しいところを上手く取っていくなぁと感じていた。
DDT EXTREME級王座のベルトを保持する宮本裕向に挑戦表明し、ハードコア+αマッチ(+αとして自由な凶器を持ち込める)で対戦決定と聞いたときも、またなんか目立つことやっちゃって……焦りすぎじゃない? という気持ちでした。
しかし、いざフタを開けてみると、勝俣の「変わりたい」という思いがビシビシ伝わる名試合だったのです。
最近ではヒゲを生やし、コスチュームも変えて、これまでのイメージから脱皮しようとしている印象の勝俣。チリに帰国した盟友・ディエゴから託されたジャンパー姿で入場し、リング上でのキメポーズもディエゴのもの。このとき、観客全員が「今日の勝俣は何かが違う」と感じたのではないでしょうか。
勝俣がハードコアマッチに不慣れな一方、宮本といえば電流爆破王のベルトまで持っているベテラン。勝俣が持ち込んだ画鋲でいっぱいの一斗缶をあっさり奪い、逆に勝俣の頭をその中に何度も突っ込みます。
それでも勝俣は倒れなかった。体は画鋲だらけで、頭のてっぺんにまで画鋲がいくつも刺さっている。基本的にDDTの試合で流血にまで至ることはほとんどないのですが、もはやデスマッチとも言える激しさの試合を”あの勝俣”が展開することになるとは……。
11分45秒、宮本がムーンサルト・プレスからの体固めで防衛に成功。勝俣は勝利を逃したものの、後楽園ホールは、「勝俣、よくやった」という温かな空気に包まれていました。
漠然としたイメージですが、男女関係なくプロレス好きには、”イケメン”や”キラキラ”に対してこじらせた意識を抱えた人が多そうです。確かに自分もイケメンレスラーの試合となると、「お手並み拝見」的な上から目線で観戦していました。そんな観客たちのせいで、これまで勝俣には苦しい思いをさせてきてしまったのかもしれないね、とにわかに反省……。
竹下幸之介と遠藤哲哉の”宿命のライバル”対決も昨夏の両国国技館大会でとりあえず一段落し、2人の再対決までは、樋口和貞がベルト戦線に絡んでいくように成長を見守っていくか……という気持ちでしたが、ここに来て、勝俣のストーリーが気になって仕方ない。プロレスラー勝俣瞬馬の物語は、”今”なのかもしれない。
勝俣の変化、成長を追っていきたいので、初めてDNAの大会にも行こうかと考えています。まさか勝俣にいきなりハマるとはと自分でも驚きつつ、アイドルもプロレスも最終的には箱推しに行きつくということなのかもしれませんね。
あっ、あと裕向さんは、やっぱりいい選手! 勝俣の覚悟を真正面から受け止めていて、「これがバブみか……」と思った次第です。