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ライター/編集者として『HiGH&LOW』のようなメディアを作りたい

17年11月に公開されたシリーズ最終章「『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』ⓒ2017「HiGH&LOW」製作委員会

わりとインターネットに絶望しがちで、「こんな世界でライターや編集者に何ができるというのか……」と感じる瞬間も多い今日この頃ですが、みんな大好き『HiGH&LOW』シリーズ。理想のメディアを聞かれたら、私は『HiGH&LOW』と答える。

オタクたち、EXILE TRIBEにハマる

『HiGH&LOW』は、EXILE TRIBEが送る総合エンターテインメント・プロジェクト。これまでドラマシリーズ、映画シリーズとメディアコンテンツを送り出し、昨年11月に公開された『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』でシリーズ最終章を迎えました。

ヤンキー的なオーラを醸し出すEXILE TRIBEとオタクは、まさに水と油。実際EXILE TRIBEアレルギーのオタクは多かった。しかし、オタクは次々と『HiGH&LOW』という名の沼に落ちていったのです。

「5回留年すれば一流のヤンキー高校」「100発の拳に耐えたものが番長になる」など、イマドキ漫画でも「アホだろ」と言われるような過剰な設定、顔が良く身体能力に優れた男たちによるド派手なアクション、「MUGENは仲間を見捨てねェ……」をはじめとした妙に真似したくなるセリフ。

『HiGH&LOW』は、もともとEXILE TRIBEに興味のなかった、なんなら少し嫌っていたオタクたちも夢中にさせて、Twitterでは連日のように大量のファンアートが投稿されました。さらにオタクたちの盛り上がりを受けて、“応援上映”というオタク文化のトレンドが公式に逆輸入されるに至る。

『HiGH&LOW』をきっかけにEXILE TRIBE自体に興味を持つようになったオタクも多く、Twitter上では、「ファンクラブに入会した」や「結局『HiGH&LOW』に出演していないメンバーが“推し”になってしまった」という報告も確認できます。

読書によって強化されるヤバい価値観

ところで、私がインターネットに絶望しがちという話。

「たくさん本を読めば、人間は善い方向に進んでいける」と素朴に信じていた自分は、Twitterと出会い、その幻想を打ち壊されることになった。なんて想像力のない意見なんだ……と絶句するような投稿をしているTwitterアカウントを見てみると、読書が趣味で、実際それなりに本を読んでいそうな様子だったりする。

仲間うちで固まる傾向のあるSNSであるmixiでは、話の通じない人間と接触する機会がそもそも少ない。また、Twitterのように数行程度の文章を1日にいくつも投稿する使い方もしない。なので、「トンチンカンな思想を持った人は、きっと人間社会にコミットできずに独り相撲の日々なのだろう」と思うことができました。

しかし、Twitterによって、「本当に人間社会に身を置いているの!?」と驚くような人間が人間社会に暮らしていることが可視化されたわけです。なんなら、結構本読んでいたりする。3日に1回は、「〇〇読了」みたいなツイートしていたりする。

読書が好きなヤバい人は、自分のヤバい価値観を本を読むことで強化している。大事なのは、どれだけ多くの本を読んでいるかではなく、どれだけ多彩な本を読んでいるかだなぁ……と気づいたのでした。

基本的に人間は想像力がない

かつて「あの小説は登場人物の誰にも共感できなかったから、つまらなかった」という感想を聞いて、共感できる=面白いなの!? とショックを受けたのですが、そういうふうに物語を選んでいる層というのは、なかなか多いっぽい。

でも、そりゃそうだ。誰でもわざわざ自分が不快になるような思想には触れたくない。

ポケモンのアニメで、ムサシがミミッキュ(ピカチュウを装った正体不明のポケモン)に対して投げかけた「よくわかんないけど、ピカチュウの姿でいることがあんたにとって大事みたいだし」というセリフが、「理解できない価値観を尊重する姿勢は素晴らしい」とTwitterでバズッた。しかし、ムサシを称賛しているTwitterユーザーは、そのひとつ前の投稿では「ナイトプール(笑)」や「インスタ映え(笑)」みたいなことを言っていたりする。

基本的に人間は想像力がない。人間が心優しくなるためには、言い換えるならば、想像力を持つためには、多様な価値観に触れる必要がある。絶えずさまざまな価値観に触れて、常に自分の立ち位置をある程度宙づりにしておくことによって、人間は少しだけ心優しくなれるのではないでしょうか。

“境界”を超えさせるメディアを

そういった考えのもと、「このジャンルが好きな人は普通あのジャンルに興味は持たないだろうな」という境界を上手く越えさせるメディアができたらいいなぁと思っているのですが、なかなかそれが難しい。

しかし、『HiGH&LOW』は、オタクたちをヤンキー文化の象徴ともいえるEXILE TRIBEに夢中にさせることに成功したのです。

『HiGH&LOW』ファンによるツイートで、強く心に残っているものがあります。それは、
「『HiGH&LOW』でEXILE TRIBEを好きになることができた。今まで苦手だったものが好きになったのをきっかけに、いろんなジャンルに対して『きっと魅力的なものなんだろうな』と想像することができるようになった」
という内容のものでした。

なんだか自分は難しいことをやろうとしている気がしますし、もともと気が短いほうなので、「こんなクソバカを啓蒙しようとしたところで無理!」と叫びだしたくなる日も多い。ただ、『HiGH&LOW』にはできたんだから、それは絶対不可能ではない目標なのでしょう。

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