稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛たちが主演を務める映画『クソ野郎と美しき世界』を見てきました。4月6日から2週間限定上映だから、まだ見ていない人は急いだほうがいいですよ!
鑑賞後は、映画作品とか物語としてというか、今後3人にどんな役を演じてほしいかについて語りたくなる。私が映像作家だったら、劇場出た瞬間にオファーの電話かけるだろう。とりあえず草彅剛は暴力映画に出て!!!!
チョナン・カン活動は今活かされる
映画公式サイトによると、『クソ野郎と美しき世界』は、「アクション&ファンタジー&ラブ&ミュージカル」の「オールジャンルムービー」とのこと。要するに、めちゃくちゃ変な映画です。
全力で走る女・フジコと、彼女を追う極悪人“マッドドッグ”、天才ピアニストのドタバタを描いた『ピアニストを撃つな!』、歌えなくなったアーティストと、歌を食べて生きる少女“歌喰い”の物語『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』、失った息子の右腕を探す夫婦の旅『光へ、航る』。そして、夜な夜な“クソ野郎”たちが集まるダンスフロアで繰り広げられるショー『新しい詩』。4つの短編が織りなす作品が、『クソ野郎と美しき世界』です。
メガフォンを取るのは、園子温、山内ケンジ、爆笑問題・太田光、児玉裕一。……太田光? しかし、太田の監督作『光へ、航る』が実にいいんですよ! とにかく草彅剛演じるヤクザとその妻が、キャラクターとしてよすぎる。人間性もダメだし、頭も悪いけど、謎の愛嬌がある。
「オスプレイって何?」
「えーと、核爆弾よ!」
「お前、頭いいな~」
……バカだ! 30分くらいの短編で登場させるのは贅沢すぎるほどの魅力。
草彅剛のヤクザ役といえば、ドラマ「任侠ヘルパー」くらいのイメージでしたが、これからはどんどん暴力映画に出ていただきたい。妻と浮気した男に絡むときの軽口のつまらなさとか、本当にチンピラっぽくてよかったですよね。キム・ギドクかパク・チャヌク、なんかの拍子にこの映画見てないかな~。『アシュラ』みたいな韓国映画にたくさん出てほしいな~。ここで活きてくるチョナン・カン活動。
ジャニーズ×暴力といえば、私の中で、『十三人の刺客』の稲垣吾郎、『ヒメアノ~ル』の森田剛がツートップでしたが、草彅剛が食い込んできました。こんな草彅剛をもっと見たいと、誰もが感じるはず。
また、香取慎吾は本人役で、物語の設定といい、ある意味もっとも演じるのが難しい役だったのでは? “持ち歌が歌えなくなる”というド直球の設定を、けっして週刊誌的な雰囲気を漂わせることなく、見事におとぎ話に仕立て上げたのには、“歌喰い”役を演じる中島セナの独特のオーラが寄与する部分も大きそう。ていうか、この子、12歳なの!?
あっ。ゴローちゃんは、まじゴローちゃんでした。
「文春砲」ってセリフ入れちゃうんだ
楽曲周りのクリエイターも豪華。小西康陽、サイプレス上野など、有名ミュージシャンがずらりと並ぶエンドロールでした。そして、スタッフには多田啄や山崎隆明、権八成裕、佐野研二郎と、私でも知っている有名クリエイターたちが集結しています。
かつてファッション誌は、服だけじゃなくて「ここをチェックしていれば、映画とか本とかアートとか幅広い最新のカルチャーを抑えられる」ものとして愛されていたし、アイドル文化もそんな感じで愛されていたと思うのですが、今後は新しい地図がそういうメディアとして機能する気がします。
また、『クソ野郎と美しき世界』は、普通だったら上映後のことを考えて映画には入れないような時事ネタも盛り込んでいるのが印象的でした。「文春砲」とか今でも結構ギリギリな感じするのに……。私が制作にいたら、「このネタ、数年後には伝わらなくなっていそうだし、止めません?」と言ってしまうことでしょう。
しかし、そういう時事ネタを残したところに、「『クソ野郎と美しき世界』は、“今”出すべき作品として作られたんだなぁ」と感じたのでした。カルトムービーにしてドキュメンタリー。だから少しでも気になったら劇場で見ましょう!
公式サイト クソ野郎と美しき世界
[tensen]
「クソ野郎と美しき世界」予告編!