グループリーグ屈指の好カードと目されていたポルトガルVSスペインの一戦は、事前の評価に違わぬ美しいゲームになった。レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックの大活躍で文句なしのMOM。さらにナチョがこぼれ球に反応してすばらしいミドルシュートを決めるなど、ジエゴ・コスタが2得点と奮闘したアトレティコ・マドリードを4対2で下した。
レアル・マドリードのヤツら、マジですごい
とか寝ぼけたことを言いたくなってしまうくらい、マドリードのクラブの選手ばかりが点を決めていましたね。ロナウドって本当にすごいですねえ。なにか書けって言われたって、そんなことくらいしか思いつかないですよ。
いかんせんグループリーグの初戦なのがもったいないくらいのレベルと密度の試合でした。得点者だけを見るとマドリード・ダービーですが、もちろんスペインはバルセロナ流の「ティキ・タカ」も健在。665本とポルトガル(306本)の2倍以上のパスを回し、成功率は91%。ボールポゼッションは67%と、直近の欧州王者が相手でも圧倒的にゲームを支配できる完成度を見せつけました。2日前にロペテギ監督を解任した影響をほとんど感じさせなかった選手たちは、真のケイスケ・ホンダでしたね。
対するポルトガルもクリスティアーノ・ロナウドの能力を最大限に活かすマネジメントで、世界最高峰の「王様サッカー」を展開。特に2トップを組んだ若手のグエデスの献身性、セットプレーや個人技以外でほとんど崩されることのなかったディフェンス陣の奮闘は大いに讃えられるべきでしょう。あとはもうロナウドですね。フジテレビの音楽番組で、キマグレンの曲に合わせて嫌そうな顔でタオルを振っていたときとは大違いの躍動感でした。特に88分のシチュエーションで、ダビド・デ・ヘアが微動だにできないような完璧なフリーキックを決められたら拍手を送るしかありません。
しかしあらためて、レアル・マドリードってとんでもないクラブだなと思いました。この試合に関してもポルトガルのロナウド、スペインのセルヒオ・ラモス、ナチョ、イスコがスタメンで、ルーカス・バスケスが途中出場。さらにスペインのベンチには怪我から回復途上のダニエル・カルバハルと成長著しいマルコ・アセンシオが控え、新監督のフェルナンド・イエロは言わずもがなのレジェンド。ポルトガルのペペも去年まで10年間レアル・マドリードでプレーしていました。
極めつけはジダンの後任としてレアル・マドリードの監督に就任することが発表された結果、試合の2日前にスペイン代表監督を解任されたロペテギ(彼も一応レアル・マドリードのOB)。早速ロシアからマドリードへと向かい、ペレス会長と並んだ就任会見では「昨日は代表監督を解任されて最低だったが、今日は人生で最高の日だ」と言いのけるなど、ちょっと信じられないような「レアル優先主義」を表明しています。そしてそのコメントを全肯定し、監督を事実上強奪したにも関わらずスペインのサッカー協会に逆ギレするペレス会長。まさに白い巨人。まさにジャイアン。日本のどこかの野球チームでも、ここまで横暴にはなれないでしょう。
「代表チームなんて知ったことか」といったレベルで驕り高ぶっているレアル・マドリードですが、やはりそこに所属している選手たちは別格。とはいえ個人的には、シメオネ監督の下でレアル・マドリードやバルセロナに匹敵する成績を収めているアトレティコ・マドリードの方が好きですね。ジエゴ・コスタ、戻ってきてよかったね。あとグリーズマン、残留してくれてありがとうね。おばちゃんフランス応援するからね。