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【ロシアW杯全部見る】ドイツとブラジル、そしてラモス瑠偉

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約4分

ドイツが韓国に負けるなんてありえないと思っていましたが、こんなこともあるんですね。

W杯のグループリーグ第3戦という特殊な状況が生んだ、ちょっと異常な試合でした。

アウフヴィーダーゼーン、ドイツ

勝ち点3で並ぶスウェーデンがリードしているという情報が入り、中盤のサミ・ケディラに代えてストライカーのマリオ・ゴメスを投入したあたりから、ドイツは正常なメンタリティとバランスを失いました。

人数をかけて攻勢に出るものの、シュートの精度がなくゴールを割れないドイツ。キーパーのチョ・ヒョヌを中心にドイツの猛攻を耐えしのぎ、前に残したソン・フンミン頼みのカウンターを幾度となく仕掛ける韓国。勝つしかないドイツが守りを捨てるのは当然かもしれませんが、それにしても不用意にカウンターを浴びすぎていましたね。ラストパスやシュートの段階でしくじり続けていた韓国ですが、最後の20分間のドイツの守備は今回のW杯のあらゆるチームの中で最も緩かった(それこそ、パナマやサウジアラビアよりも)ので、ゴールの可能性はかなり高いな、とドキドキしながら見ていました。

そんなわけでアディショナルタイムの韓国の2得点は、26本もシュートを放ちながら1点も奪えなかったドイツが支払う代償として妥当なものだったと思います。攻撃参加したノイアーがあっけなくボールを奪われて失点した場面はさすがにちょっと笑ってしまいましたが……。ここ2試合は悔しくて泣いてばかりだったソン・フンミンも、最後の最後に勝って泣くことができてよかったですね。

ドイツの敗因については、今後いろんな話が出てくることでしょう。そもそもの話をするなら、選手を選ぶ段階でちょっと問題があったかもしれません。ユリアン・ブラントと天秤にかけて、マンチェスター・シティのレロイ・サネを落としたこと。バルセロナで絶好調のテア・シュテーゲンを使わず、負傷明けのノイアーにこだわったこと。総じてコンビネーションとテクニックに偏ったスカッドで、対戦国からすれば対策は練りやすかったのではないでしょうか。

ボアタルジ、ブラジル

ブラジルは強かったですねえ。特にチアゴ・シウバが追加点を決めた後の20分の試合の進め方は、セルビアびいきの僕でも惚れ惚れするようなクオリティーでした。ピッチを広く使いながらポゼッションすることでセルビアのプレスを無効化していたのですが、ミドルレンジのパスの精度がとにかく秀逸。単純に正確なだけではなく、ひとつひとつのパスのスピードや受け方がもうマジでやばい。というか全員サッカーがうますぎる。背中を痛めたマルセロに代わって入ったフィリペ・ルイスも素晴らしかったですね。

敗退したセルビアは、現時点ではまだちょっと若いチームだったかもしれません。セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチがビッグクラブで成功を収め、ブラジル戦で思い出作り的に起用されたアンドリヤ・ジブコビッチやルカ・ヨビッチが順調に成長することで、2年後のEUROや4年後のW杯でサプライズを提供してくれるのを楽しみにしています。

ラモス瑠偉が僕たちに教えてくれたこと

なにも成し遂げられないまま、グループ最下位で大会からさよならすることになってしまったドイツ。基本的な技術レベルでは韓国、メキシコ、スウェーデンを軽く上回っていたし、チームとしての成熟度も世界トップクラスだったはずなのに、とにかく点が取れない。結果として攻守のバランスが崩れて、負ける。初戦でメキシコに完封されたストレスが、その後のスウェーデン戦、韓国戦でもずっとマイナスに作用していたようです。

ブラジルの場合はスイス相手に引き分けていたことが大きかった。コスタリカ戦の後半アディショナルタイムまでは地獄のような気分だったと思いますが、勝ち点4で迎えたセルビア戦はいい具合に力が抜けていました。戦術理論やデータ分析のレベルが飛躍的に進歩したというここ数年のフットボール界。それでも最終的には気持ちの問題で勝敗が左右されている(ように見える)のがとても面白いですね。ラモス瑠偉がバンテリンのCMで言っていたことは正しかった。

さて、今夜は日本対ポーランドの試合がありますね。ハリルホジッチ解任以降、「絶対に惨敗する」と言いまくっていた僕ですが、ここはもう素直に応援させていただきます。ラモスが言っていたように、こちらにはバンテリンがあります。これは有利です。きっと結果は出ます。

この著者について

チョウ ウヒョン
スポーツ、映画、ヒップホップ、近現代の日本文学などを好みます。当面の目標は若隠居です。
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