HADOというeスポーツ、超人スポーツがある。ウェアラブル端末とセンサーを身に着け、手から“かめはめ波”のような波動(エナジーボール)を放ってARの中で戦うゲームだ。
波動は撃てるわ、シールドは出せるわで自分が本当にゲームの世界に入り込んだような感覚が得られる一方、バトルフィールドはリアルのフロアだし動くのも生身の自分。実際に腕を突き出すことで波動が出て、飛んできた波動は身をかわしてよける。
人並みにはゲームはやりつけてきた上、体を動かすことにもそこそこ自信がある俺が下手なはずがない。賞金が出る大会もあるらしいし、なにより楽しそうだ。
ということで、編集部の4人で連れ立って初心者向けの体験会に行ってみることにした。当然、「やっぱこういうのやらせたら上手いっすよね〜」と他の3人に言われるもんだと思っていた。
惨敗
果たして、体験会場には子どものようにおびえ、まごつくだけの俺がいた。その場にいた20人弱の中から、適当に組んだ3人のチーム同士での対戦を繰り返したが、全然勝てない。すぐやられる。
誰と組んでも常に俺が足を引っ張っている。
一緒に行った編集部員は、俺の試合を傍から見ながら「社長のあんな顔初めて見た」と言ったそうだ。
おかしい。こんなはずじゃなかった。そんな思いが頭を駆け巡るが、一向に俺のスコアは伸びない。頭と体、やりたいことと実際のプレイがちぐはぐなまま、体験会の2時間があっという間に過ぎていった。
やばい。常々スポーツが好き、体を使うのは得意と言ってきた俺を編集部員はどんな目で見ているのだろう。そう思って顔を上げると、冷ややかな目ではなく憐れみの目でこちらを見る編集部員たちがいた。
完全に可哀想な子を見る感じだ。そっちのほうが辛いっす。笑って、なじって、馬鹿にしてほしかったのに、慰められてしまった。こちらの顔が相当ひきつっていたに違いない。
いや、体は動けていたとは思うんですよ。一緒に行った(運動苦手そうな)女性スタッフの試合と比べても、動きの量で負けていたとは思えないし。まあそこと比べてる時点でだいぶ弱気なんだけど。
ただ、効果的な動きはできていなかったということなのだろう。なんかすぐライフがなくなったし、敵は倒せないし、シールドは生かせないし。
ゲーム内では何をするにも「チャージ→発動」が必要なのに、チャージが上手くできない。チャージできてないのに、手を振って波動を出そうとして、時間をロスする。あせるとなおさら上手くいかず、悪循環。
気が付けば何も発さない右手を振り続けていた。不器用にもほどがある。あと、弾幕系シューティングは得意なのに、いざ自分に向かって無数の波動が飛んでくると頭真っ白なるね。
反省
話は変わるが、サッカーではよく「戦術理解度」という言葉が使われる。日本人選手には、上手い選手は多いがサッカーを知っている選手が少ないのだという。
広義の戦術理解度とは、サッカーを読む力、動きの効果的・効率的な質を言う。テクニックがあり、上手く蹴れるだけでは試合には勝てない。
サッカー先進国で言う“いい選手”とは、フィジカルやテクニックではなく、経験からくる感覚、大局観、緩急、判断力、駆け引き等に長けている選手なのだ。
今回俺は、HADOに関してまったく戦術理解度が足りていなかった。体は動く準備をしていたのに、頭がまったく命令しない。ルールを理解していれば適当になんとかなるだろうと思っていた。舐めていた。いざゲームになると糞の役にも立たない。
おかしい。こんなはずじゃなかった。
そしてリベンジへ
というわけで今、俺はリベンジに燃えている。どう戦うか、何のためにどう動くかというのをしっかり頭に叩き込んで、再チャレンジしようと思う。いや再チャレンジさせてください。お願いします。このままでは終われないので。
問題は、次回は「戦術理解度を上げた結果、実は全然体も動いてなかったことがわかった」というレポートになるかもしれないということだ。
その他の編集部員による体験レポは以下参照!