保育園の入り口に、「○○組 胃腸炎 ○人」といった具合に、感染症とその人数が書かれたボードが置いてある。誰が感染しているのかはわからないようにしてくれたうえで、感染症の拡がりと危険性を教えてくれる素晴らしいシステムだ。
恐怖のインフェクションボード
しかし、ボードの存在は有り難いようで恐怖でもある。インフルエンザが流行り出した12月某日の朝、僕は恐ろしい数字を目にした。
だいじょうぶかキリン組!!??
多く見積もっても全員で20人足らずのハズ。それで8人はかなりヤバイ。
道路を挟んで天国地獄
娘が通う保育園は、道路を挟んで新園舎と本園舎の二つの園舎があり、アヒル組より上のクラスが本園舎。下のクラスが新しくできた新園舎となっている。つまり、バイオテロは僕の娘がいる園舎とは反対の園舎で巻き起こっているのだ。
娘を預けたその日の朝、本園舎に登園する園児たちの瞳は、どこかうつろで、「助けて」とこちらに訴えかけているように見えた……
そして翌日、被害はさらに増大の一途を極める。
暴れ続けるインフルエンザ! ついには大人にまで! 保育士いわく、キリン組は学級閉鎖状態で、登園した子はゾウ組と一緒に過ごしているらしい。
もうパンデミックと呼んで良いレベルだ。ウイルスを持ち込んでしまった園児の保護者、その心労は計り知れない。
この時点では道路を挟んで天国と地獄が真っ二つに分断されていた。しかし、宙を舞い、ヒトを媒介して移動するインフルエンザに、横幅数メートルの細い小道など取るに足らないものだった。
ウサギ組が襲われるのはもはや時間の問題。いや、すでに感染者は出ているのかもしれない。りょう〇君や、あ〇さちゃんの体内に潜伏し、ウサギ組を地獄と化すための準備を進めているのかもしれない。
もちろん娘にも、もしかしたら僕の体内も、すでに根城にされている可能性も否定はできない。
翌日、ひとまず己と娘の健康を確認し、保育園へと向かう。そして恐る恐るボードに眼をやった。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”sawamama.png” name=”某保育士”]
なぜでしょう?ウサギ組は今日も元気いっぱいです
[/speech_bubble]
保育士さんも不思議がるウサギ組無双!! オムツ姿で走り回る園児たち!!
そういえば娘の組は0歳の頃からインフルエンザに強かった! 胃腸炎の噂はチョクチョク耳にしたが、インフルエンザになったという話は聞いたことがない! もしかしたらインフルエンザに耐性がついているキセキの世代なのかもしれない。我が娘に至っては、強い風が吹くだけで爆笑するほどの風の子だった!
マジでなんなの!?
年が明けて2018年。世間でインフルエンザはまだまだ暴れまくっていたが、我が保育園ではひとまずブームは過ぎ去った。インフルエンザで休園してしまう子どももいたにはいたが、年末のような勢いはない。ウサギ組は、インフルエンザに勝利したのだ。1人の脱落者も出さずに、インフルエンザの猛威を払いのけたのだ。
そして1月最終週の某日、インフルエンザのことをすっかり忘れていた僕は、ふとボードに目を向けた。
なんなのアデノウイルス。