「歌って、踊って、闘える」最強のアイドルを目指す異色のグループ、アップアップガールズ(プロレス)のブルー担当・ヒカリは、メンバーで唯一、もともとのプロレス好き。高校時代に東京女子プロレス入門を希望したほどの情熱の持ち主だが、リングデビューした当初は負けが続いてしまった。
アプガプロレスは、8月25日に東京・後楽園ホールにて開催される東京女子プロレスの大会で、今年1月のデビュー試合と同じ、ミウ&ヒナノ対ヒカリ&ラクのカードで試合を行うことが決定した。リングデビューからの約8カ月間、ヒカリはどんな思いで戦ってきたのか――。
女子高生、東京遠征で東京女子プロレスに出会う
—ヒカリさんは北海道出身ですよね。東京女子プロレスの大会が北海道で開催されたことはまだありませんが、なにをキッカケに東京女子に興味を持ったのでしょうか?
お正月シーズンって、後楽園でいろんな団体が大会を開くじゃないですか。それを狙って毎年遠征しているんです。
—1人で?
1人で。
—女子高生が、すごい情熱だ……。
うちの家庭って、おおらかなんですよ(笑)。新日本プロレスの東京ドーム大会の前にたまたま東京女子が後楽園で大会をしていて、そこに行ってみたのが最初です。他の団体さんってスポーツ経験とか身長制限とか応募の条件がいろいろあったりするんですが、東京女子は「どんな女の子でも大丈夫」ってアピールしていて、自分もここに入りたいと憧れるようになりました。
—そもそも、なんでプロレス好きになったんですか?
プロレス好きの子と仲良くなって、一緒にデスマッチ行ったらどハマリしちゃったんです。だからプロレス好きになったきっかけはデスマッチ! 親はプロレス好きじゃないんで、家で試合の映像見たりしていると引かれてました(笑)。でも私がプロレスラーになりたいって言ったときは、「まぁ、やってみれば」みたいな反応でしたけどね。とくにお母さんはダメって言わないタイプなんですよ。
—しかし最初に東京女子の練習生に応募したときは、「高校を卒業してから」と言われてしまいました。
ずっと東京に憧れていたからこそ、「北海道に住んでいるからダメ」と言われてしまったときのダメージは大きかったです。1人で上京しようかとも思ったんですけど、やっぱり東京の学校に転校するとなると、手続きも大変じゃないですか。卒業したらもう一度って話だったんですけど、なんか私は、「断られた」って受け止め方をしちゃったんですよね。「やってやる!」って気持ちで応募したからこそ、結局何もできないとなったのがショックで……。一時はプロレスの試合も見られなくなりました。
運動神経は「良い悪い以前」の問題だった!?
—アプガプロレスの募集はどこで知ったんですか?
テレビで募集CMを見かけました。何か知ってる声が聞こえるなと思ったら、高木さん(DDTプロレスリング代表取締役社長の高木三四郎)の声で。
—高木大社長の声で反応するのが、さすがですね。運動神経には自信があるほうだったんですか?
良い悪い以前に、運動自体にあまり関わってこなかったから、「わからない」って感じでした……。体育の授業では、先生に見つからないように友達とサボるタイプだったんで(笑)。
—でもミウさんにインタビューしたときは、「ヒカリちゃんは基礎練習がいきなりできていた」と言っていましたよ。
それはプロレスをずっと見てきたからですね! 練習風景の動画とかもあるじゃないですか。だからなんとなくイメージできていたんですよ。
—アプガプロレスのメンバーと初めて対面したとき、とくに印象に残ったのは誰でしたか?
ヒナノですかね。お嬢様! って感じの服装だったんで、この子は良いところのお家で育って、お母さんに「可愛いね、可愛いね」って言われて、アイドルになるために育てられた子なんだろうなと思いました。
—アイドルになるために育てられた子は、アプガプロレスのオーディション受けますかね!?
そこは私もちょっと疑問に思ったんですけど(笑)。でもアップアップガールズ(2)のオーディションも受けたって言ってたから。柔道やサンボを習ってたっていうのも、なんか強めのバレエみたいな感覚だったのかなーと(笑)。
デビュー試合で負けて「あ、終わった」
—唯一もともとプロレス好きのメンバーということで、試合デビューのときから期待される存在でした。そうやって注目されるのが負担になることはなかったんでしょうか?
私だってプロレス好きの練習生がいたら期待すると思うんですよ。そう考えたらすごくプレッシャーで、3日前くらいが一番きつくて、ご飯も食べられませんでした。当日の朝になったら吹っ切れたんですけどね。
—デビュー試合でミウさんに負けてしまったときは、どういう気持だったんでしょう。
「あ、終わった」と思いました。これからどうなっちゃうんだろうって。プロレス好きで注目されたぶん、負けたとなるとお客さんもガッカリしちゃいますよね。メンバーで一番プロレスを知っているからこそ、私も勝つつもりで試合に出ていたし、「こんな動きをしよう」とかいろいろ考えていたんですけど、結局本番になったら、自分のできることをするので精一杯で……。デビュー2試合目も負けて、たまたま翌日が成人式だから北海道に帰ったんですよ。そしたらお客さんの間で「メンタルやられて実家に帰ったんじゃないか」説が出ました(笑)。余計な心配かけちゃいましたが、メンタルに結構きていたのは事実です。家で泣いたりしてたんで(笑)。
—今では勝率も上がって、先輩選手とシングルマッチを組まれる回数も増えました。これまで一番印象に残った試合は何ですか?
「東京プリンセスカップ」トーナメントでの坂崎ユカさんとの試合です。今まで先輩とシングルで戦うときは、先輩が私を引き立たせてくれるような試合をしていたんですが、アプガプロレスの代表として出場する以上は、自分が勝っても負けても“アプガプロレス”という枠で見られるんじゃないかと思いました。だから私のせいでアプガプロレス全体に迷惑をかけてしまう結果になるかもしれない。私が東京女子にハマったきっかけがユカさんの試合だったこともあって、今までで一番「勝ちたい」という気持ちが出た試合でした。
—ユカさんとの試合では、出場枠をかけて競ったミウさんがセコンドにつきましたね。
ミウとはシングルを組まれることが多くて意識していたぶん、セコンドについてくれると自分の力にもなるし、かっこいいところ見せたくて頑張れました。
夢は後楽園大会のメインでデスマッチ
—アプガプロレスのメンバーとして、課題にしている部分は何でしょうか?
プロレスを想う気持ちでは誰にも負けない自信があるんですが、アイドルとしての活動のほうが……ちょっと……。リングではスイッチが入るんですけど、ダンスとか歌になると急に自信がなくなっちゃいます。もちろん、アイドルとしてステージに立つのも楽しいんですけどね。ライブによってお客さんの盛り上がり方が全然違うから、毎回すべてが新鮮で面白いです。
—世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2018」に出演したのは楽しかったですか?
人がいっぱいで楽しかったです! 私たちが路上プロレスをやったのが金曜で平日だったんですが、それでもたくさんの人が集まっているのに驚きました。これだけ多くの人が仕事を休んでいるのに、電車も動いていて、コンビニも開いていて、すごいなって……社会は回るんだなって……。私もプロレスのために学校休んだりしていたので、同じではあるんですけど。
—なんてピュアな感想なんだ……。最後に、今後の目標を教えてください。
リングデビューから8ヶ月経って成長した部分もあるとはいえ、まだまだ新人扱いで、先輩と一緒のカードになっただけでお客さんが「先輩の中に入れてよかったね」とリアクションしてくれる段階ではあります。でもこれからは、自然と先輩たちとの試合が組まれる選手になりたいですし、逆に私と試合をするようになった誰かが「ヒカリと戦えるのはいいことだよ」と言われるような存在になりたいです。
……実は私、試合で緊張することがなかったんですよ。でも最近は愛野ユキさんが後輩としてデビューしたり、練習生も新しく入ってきたから、自分が相手を引き立たせる側に回らないといけません。だから、今のうちに試合ごとに2歩、3歩と成長していかなきゃなって思っています。最近は重要な試合にも関わらせていただくようになりましたし、「これはヘマできない」とめっちゃ緊張するようになりました(笑)。
—プロレスラーとして、意識の変化が生まれてきたんですね。
えへへ……! あとはやっぱり、いつか後楽園のメインでデスマッチをやりたいです! でも私だけだと試合できないんで、誰かもう1人デスマッチをやりたい選手がいれば。お願いします!(笑)
[box class=”box28″ title=”ヒカリ”]
1998年2月18日生まれ、北海道出身。身長153cm。得意技はコブラツイスト。高校時代に東京女子プロレスに入門希望したこともあるほどのプロレスファン。とくにデスマッチが大好きで、憧れのプロレスラーは“デスマッチのカリスマ”葛西純。
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東京女子プロレスは、8月25日(土)18時より東京・後楽園ホール大会を開催。チケット情報などは公式サイトをチェック!
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