ネフタリ・ソト、29歳。メジャー経験、わずか34試合でヒットはたった3本。入団テストを経て今季から横浜DeNAベイスターズの背番号99を背負っているこの男が、ここまでの活躍を見せるなんて誰が想像できただろうか。
春先の嫌な予感は的中
だいたい、春季キャンプ・オープン戦で活躍した新外国人選手がそのままシーズンも主力として働いたケースのほうが少ないんじゃないか。昨年もオープン戦で打率.375の成績を残したシリアコも、開幕後はさっぱり。結局出場12試合で.074という数字に終わってしまった。だからソトがキャンプMVPに選ばれ、オープン戦でも打ちまくったとき、なんとも嫌〜な予感を抱いたファンは多いはずだ。背番号もシリアコの98をめっちゃ彷彿させるし。
果たしてソトは、もうその予感をこれ以上ない形で的中させてくれた。「“開幕戦”の“試合前練習”でケガをし、そのまま試合に出場することなく2軍に行く」という完璧な“期待はずれ新戦力”を演じてみせたのだ。
正直、筆者はこのまま「特に活躍するでもなく印象に残らないまま退団」というソトの未来を思い描いた。だいたい、横浜の外野陣は鉄壁(のはず)だ。筒香、桑原、梶谷。そんな中にスーパールーキーの神里が割って入ろうとしている。メキシコで4割打った乙坂も今季こそブレイクするだろう。内野なんてもっと隙がない。なにせ最後の1ピース大和が入団したのだから。だから、残念ながらソトが活躍できる場は少ない。当然、期待もあまり大きくなかった。
もう、ほんとごめんなさい。怪我人や不調の選手の穴を埋めたのは他ならぬソトだった。
5月に1軍に昇格すると、そのまま打ちまくる。2番打っても活躍するし、クリンナップも任せられる。外野も内野もこなす。クライマックスシリーズ進出へ厳しい戦いが続く9月17日には、前日の試合で20点取られた阪神相手にどうだとばかりのサヨナラ含む2本のホームラン。ファンの溜飲を下げてくれた。
それが巨人の4番以上の活躍
今季大ブレイクした巨人の若き4番、岡本和真は本当に立派だ。ここまでシーズンを通してコンスタントに活躍し、現在打率.309、31ホームラン。そんな成績を見てすごいなあと思っていたのだが、うちのソトをふと見ると、打率.304に33ホームラン。なんと巨人の4番以上の数字を残しちゃってるのだ。
1年目の30本超えは球団史上3人目の快挙。ロペス、筒香、宮崎のクリンナップは12球団屈指の破壊力だったはずだが、そこにさらに3割30本のバッターが加わるなんて誰が予想できただろう。9月17日現在、筒香35本、ソト33本、宮崎27本、ロペス20本。横浜の“20本カルテット”実現は、1977年の田代富雄(35本)、松原誠(34本)、シピン(22本)、高木嘉一(20本)以来41年ぶりだそうだ。
ここに、梶谷まで帰ってきたら。20本以上が5人なんて打線、想像しただけで鼻血が出てしまう。たんなる机上の空論ではなく、ソトがセカンドを守れるため梶谷との併用が可能なのがミソだ。そうなったらもう、松永、ブーマー、門田、石嶺、藤井を擁したブルーサンダー打線を超える、プロ野球史に残る強力打線になるんじゃないだろうか。
単打が繋がりまくったマシンガン打線に続く、横浜の強力打線の名称を考えますかね。