横浜DeNAベイスターズの2018年シーズンが終わった。
3年連続でクライマックスシリーズ進出争いに加われたため「惜しかった」という印象もあるが、終わってみれば67勝74敗2分の4位。順位も、借金7という勝敗も過去3年間で最低となってしまった。そんなシーズンを振り返ってみる。
3人で貯金16→借金13という落差
思えば昨シーズンの今永・濱口・ウィーランドによる10勝トリオは儚い夢だった。星の巡りによる僥倖であることにも気づかず、東の入団で「これで10勝カルテットに石田・今永・濱口・東の左腕カルテット、ウフフ投手王国だあ」とほくそ笑んでいた自分が恥ずかしい。しかし10勝トリオが揃って戦線離脱するなど誰が予想できただろうか。
だが、開幕こそ苦しいスタートとなったが、筒香の例年よりはるかに早い目覚めもあって4月半ばになんと8連勝を記録。オープン戦から評価が高かった2年目の京山が初登板から3連勝する活躍を見せ、即戦力ルーキー東も抜群の安定感を発揮するなど、3本柱不在によるダメージは最小限に抑えたかに見えた。いや、むしろ3人がいなくてもそこそこ勝てているのだから、今の京山・東・大和・神里という戦力が上乗せされた状態に3人が帰って来ようものならもう優勝待ったなしだろうとここでも楽観的な思いを抱いていた。いや、すべてのファンが思っていただろう。
そして3人が戻ってきた。
今永・4勝11敗、濱口・4勝5敗、ウィーランド・4勝9敗。合わせて13の負け越し。彼らだけに今年の敗因を求めるのはフェアではないが、昨年はこの3人だけで16もの貯金を積み上げただけに、期待を大きく下回ったのは確かだ。唯一2ケタ勝利を挙げたのが11勝のルーキー東というのがなんとも皮肉だが、東がいなかったらと思うとぞっとする。
実はわりとキャリアハイだった大和
野手陣は、ソトが打率.310、41本塁打、95打点というチーム2冠王(打率も2位なので准チーム3冠王)の成績を収めるという嬉しすぎる誤算があった。何度もチームを救ったソトに加え、宮崎はチーム首位打者に28本塁打、筒香も38本塁打、ロペスも26本塁打と中軸だけ見ると決して悪い数字ではない。むしろ他球団から見ても驚異の破壊力だろう。
一方、その他の野手では「最後の1ピース」とまで言われた新戦力の大和は打率.244に終わった。物足りなさを感じた人も多かったようだが、実は阪神時代も昨年こそ.280を打ったがその前年は.231、その前は.225。本塁打、打点は今年がキャリアハイだし、盗塁だって過去3年間と比べて倍の数に伸ばした。それなのにこの印象というのは、いかに期待が大きすぎたか、そして開幕戦の先頭打者の打球で出てしまったエラーによるガッカリ感がいかに大きかったかを物語っている。
大和とともに期待された倉本は打率.232、打点はわずか14。一昨年の打率.294、昨年の50打点を考えるまでもなく物足りない数字だ。昨年21本塁打21盗塁の梶谷も、シーズンを通して怪我に苦しみ8本塁打5盗塁。チームの顔になってもおかしくない2人だけに、非常に残念な結果だった。
ラミレスは“権藤以来”の名監督?
そしてなんと言っても、今年はキャッチャーが悪すぎた。昨年は戸柱、嶺井、高城それぞれが自分の持ち味を発揮し、今年は特にリードと守備面で飛躍を見せるはずだった。それがなかなか結果を出すことができず、バッティングまで低迷。いずれも打率1割台とまったく打てなくなってしまい、シーズン途中に高城を放出し伊藤光を獲得するというテコ入れが必要となってしまった。これも機能したとは言えず、伊藤も正捕手の座を射止めることはできていない。責任を取るように光山バッテリーコーチが退団。来季は今年崩壊した“バッテリーチーム”の再建が最重要課題になるだろう。
そして。監督は、ラミレスの留任が決まった。なんだかんだ言われてはいるが、最下位だったチームを就任1年目でクライマックスシリーズに進出させ、2年目には19年ぶりとなる日本シリーズ出場を果たした手腕は見事。3年目の今年だって言うても4位で、横浜の監督で最下位を経験していないのはなんと1998〜2000年の権藤監督までさかのぼらないといないのだ。
それでも、今年の投手・捕手の低迷、バッテリーコーチの辞任の手当ては早急に必要になる。来年は投手コーチに番長三浦が就任することが発表された。ここでバッテリーコーチに有能な指導者が来てくれれば…そう…谷繁のように…。いや、谷繁は将来の監督候補でもあるしさすがに難しいとは思うが、野手やバッティングに関するラミレスの知性とひらめきをサポートするような、できればバッテリー出身の参謀がついてくれれば、また来年も期待できよう。
ともあれ、まずは、今年も1年お疲れ様でした&ありがとうございました。