いとわズ

『インサイド』、『模倣霊』、『ブラッド・インフェルノ』……今夏公開のホラー映画、気になる3本を実際に見てみた

154 views
約6分

普段は映画好きの中でも身分が一段下のような扱いで、ほんの少し肩身が狭いホラーオタク。「映画が好きなの? どんなのよく見るの?」と聞かれて、「ホ、ホラ……ウグーッ!」となってしまうこともしばしばです。大体「なんでも見るよ〜」と何も言っていないに等しい返事で乗り切りがち。会話の相手からは、「話を広げようとしたのに、こいつはコミュニケーションする気がないのか?」と思われがち。

しかし、夏は堂々とホラーの話ができる季節! この夏公開されるホラー映画の中から気になった3本を見てみました。

今夏公開ホラーのなかから気になった3本

180720 harada 01
©2016 NOSTROMO PICTURES SL / INSIDE PRODUCCIÓN AIE / GRAND PIANO LLC

[list class=”li-yubi”]

  • インサイド:7月13日より全国公開中

[/list]

妊婦のサラ(レイチェル・ニコルズ)は、交通事故で夫を失くし、自身も補聴器なしでは音が聞こえない障害を背負ってしまう。クリスマス・イヴの夜、サラの自宅を正体不明の女が訪れる――。

スプラッタ描写がきついと評判の、言わずと知れた仏ホラー『屋敷女』のリメイク版。もちろん『インサイド』も大規模上映される映画としては、なかなか流血シーンが多いのですが、さすがに『屋敷女』レベルではありません。全体的に“キレイな『屋敷女』”という印象です。

そのキレイさはエンディングにも及ぶ。ヒロインに聴覚障害という設定が新たに加えられたことにより「原作と展開がどう変わるのか」と注目されていましたが、それよりも結末が全然違う! 感動要素がわかりやすくなり、人にオススメしやすい作品になりましたが、いち原作ファンとしては、狂気のラストがむしろ母性というものの凄まじさを感じさせて好きだったんだけどなーと残念な気持ちもある。

ただ、ミゲル・アンヘル・ビバス監督の「ストーリーを伝えるのではなく、恐怖を体験してもらうことを念頭に置いていました」(公式サイトより)という狙いは成功しているように思います。ホラー映画をお化け屋敷的なアトラクションとして楽しみたい層にとっては、ピッタリでしょう。

[sen]

180720 harada 02
© 2017 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & STUDIO DREAMCAPTURE. All Rights Reserved.

[list class=”li-yubi”]

  • 模倣霊:新宿シネマカリテの映画イベントにて8月2日より公開

[/list]

イベント公式サイト カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018

※上映日は同イベントの公式サイトをチェック

山々に囲まれた夫の故郷で義母の介護をすることになった妻・ヒヨン。森の中に1人ぼっちで佇む迷子の少女を自宅に招き入れたが、少女は夫婦の娘と同じジュニという名前を名乗り、なぜか娘の声や家族の会話をそっくり真似し始めた――。

正直、ホラー映画好きの間でもそこまで注目されていない1作です。では、なぜ本作を選んだのかというと、出演女優のヨム・ジョンアが『箪笥』の継母役だと知ったから。ストーリーは理解しきれなかったのですが、全体に漂う嫌な空気が印象深い作品でした。

「『箪笥』がよかったから」以上でも以下でもない理由で見てみたものの、『模倣霊』、いいじゃないですか! 欲を言えば、もう少しケレン味がほしくはある。おいしいけれど薄味なので、もう少し塩コショウを足してほしいとは思うが、シンプルな味付けでもおいしいっていうのは、技術がある証拠なんだよなぁ。

エドガー・アラン・ポーの小説『黒猫』からインスピレーションを受けた独特の世界観、通常の5倍以上のサウンドエフェクトを施したという“声”の表現。切なくも美しいエンディングだっていい。玉石混交のホラー界の中で、きちんと「良作を見た」と思わせてくれる作品です。

あっ、ホラー好きならみんな大好き、祈祷シーンもあるぞ! めちゃめちゃ子供が可哀想だし、太鼓が鳴る中で血まみれの中年男性が白目をむくのが景気がいいので、『哭声/コクソン』で祈祷シーンの魅力に目覚めた人はみんな見ようね。

[sen]

180720 harada 03

(c)2017 Onetti Brothers

[list class=”li-yubi”]

  • ブラッド・インフェルノ:7月14日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開中

[/list]

大洪水により廃墟となった町に、若者6人組が映画撮影をしようとやって来る。車が故障して立ち往生する彼らの前に、何者かが現れる――。

オフィシャルで掲出されている「ニューヨーク・タイムズで『10年に1本の恐怖映画!』と絶賛され、シッチェス・カタロニア国際映画祭で監督賞を受賞した衝撃作!」という文言を見て、一体どれほど怖い作品なんだ……と怯えていましたが、上映が進むにつれてどんどんニヤニヤしてしまいましたよ。

だってこれ、『悪魔のいけにえ』じゃん!

画面からも伝わる町の気温の高さ、人の顔の皮で作った仮面、正体不明の一家……。他にもいろいろ、そのまんまじゃねーか! とツッコミたくなる要素が満載。それでも「パクリやんけ」というのではなく、「この監督、本当に『悪魔のいけにえ』が好きなんだろうな……」と感じさせるのは、ちょっとしたカットなど細かいパロディも詰め込まれているから。『悪魔のいけにえ』が好きすぎるあまり、自分で『悪魔のいけにえ』を作っちゃったのだとしたら微笑ましい。ぼくのかんがえたさいきょうの『悪魔のいけにえ』。

『ブラッド・インフェルノ』こそ、ホラーオタク向けの作品です。できればオタク同士で見に行って、鑑賞後に「いや〜、『悪魔のいけにえ』だったね!」と言い合ってほしい。

もちろん『悪魔のいけにえ』を知らない人が見に行ってもいい。『ブラッド・インフェルノ』は、不気味なホラーとして素直に楽しめることでしょう。しかし、ホラーオタクが見れば、ひとつひとつのシーンににっこり、うふふ……。オタク向けのちょっとしたボーナスみたいな作品ですよ。

3本に収まるはずがなかった

この夏はほかにも

[list class=”li-yubi”]

[/list]

なども気になる。そもそも見たい新作が3本に収まるはずなんてなかったのだ。

というわけで、ホラー特集が終わってもホラーは見続けるし、見たらまたレビューを書くぞと決意したのでした。やっぱり夏は忙しいね!

コメント

*
*
* (公開されません)

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pinterest
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE