ちょっとリズムが狂っていた横浜DeNAに、ようやく不調を脱する兆しが見えた。それがサンデー京山の復活だ。
今季の横浜DeNAのスタートは不安しかなかった。昨季10勝以上を挙げた今永、ウィーランド、浜口の3本柱が故障で開幕ロースターから外れるという、これ以上ないくらいの非常事態。さらに、野手の目玉であった大和も、開幕戦の先頭打者の打球で失点につながるまさかのエラーをおかし完全につまずいてしまう。結果1勝5敗スタートと、昨年の日本シリーズ進出の勢いでウキウキで迎えたはずのシーズンに早くも暗雲が立ち込めた。
そんなチームを救ったのが、京山や東といった若い選手だ。2年目の19歳京山がチームトップの4勝。ドラフト1位ルーキー東もここまで2勝に防御率2.09と1年目とは思えない堂々としたピッチングを見せている。飯塚だってまだ勝ち星こそないものの4先発で防御率2.91と立派になった。
3本柱不在にもかかわらず、8連勝したり単独首位に立ったりなどチーム状態は4月21日まで最高だった。そこに、出遅れていた3本柱がいよいよ合流することになる。やばい。完璧なチームになってしまう。もはや負ける要素が見当たらない。そう思った横浜ファンは多いはずだ。
しかしそううまく行かないのがスポーツというもの。ここで、戻ってきたウィーランドと今永の不調という大きすぎる誤算にぶつかってしまった。さらに、この誤算が伝播し、チームは急降下。あれだけ好調だったはずなのになんと借金生活にまで突入してしまう。
これはおそらく、ラミレスが手堅く慎重にチームをまとめていくのではなく、このチャンスに劇的にパーフェクトな状態にまでもっていってしまおうとしたからではないか。確かに、新戦力が躍動する現チームに、そのまま昨年の主戦力が上積みされれば、最強のチームが出来上がる。そのためラミレスは4月22日にウィーランドを復帰先発させると、以降ウィーランドと今永を中心に据えたローテーションに舵を切った。
4月22日は日曜日だ。実は、今年大ブレイクした京山は、毎週日曜に登板するという規則正しい起用で勝利を挙げてきた。それが、ウィーランドの復帰でペースが狂ってしまったわけだ。勝ち頭とはいえ京山は今年1軍デビューしたばかり。「格」という意味ではラミレスの起用法は間違っていないのかもしれないが、京山はそれに対応できるほど経験豊富ではなかった。京山が先発したのは、中9日空いた25日の水曜日。しかも、22日にウィーランド、24日に今永と立て続けに復帰組が崩れた後というプレッシャーのかかる登板となったのも災いした。結果京山は大乱調で負け投手となってしまう。帰還した昨季のエース格と、今季チームを引っ張ってきたニューフェイスが、共に倒れた。チーム状態が一気にガタガタにならないほうがおかしい。
そんなことを、ラミレスも周囲にめちゃめちゃ言われたのではないか。その次の京山の登板は、5月6日の「日曜日」に戻っていた。そこで京山は、打たれはしたものの見事勝利投手となってみせた。
ここでガラッと方針転換できるのが今季のラミレスのすごいところだ。不甲斐ないピッチングを続けた今永をわずか2試合でファームに落とし再調整を命じると、続いて復帰してきた浜口も特別待遇はしなかった。浜口の今季初登板予定だった試合が雨で流れたのだが、浜口をスライドさせることなく、東や石田ほか既存の投手のローテーションを崩さないよう翌週まで復帰登板を延ばしたのだ。
今季新たに躍動している戦力に、昨季の主力が特別待遇なしで加わる。そのベストな形に、ようやく辿り着いた。そのメルクマールが6日のサンデー京山復活だったのではないだろうか。
まあ、その浜口が翌週の登板も雨で流れてしまいいまだ復帰できてないのは不運な巡り合わせだけど。