褒められたい大人です。
Twitterでは、アニメキャラクターや可愛いマスコットがとにかく褒めてくれるbotが大人気で、現代人は褒めに飢えている。
私も本当は、朝起きただけで「起きるとは偉い!」、出社してパソコンの電源点けただけで「出社した上にパソコンの電源を点けて偉い!」と言われたいよ~。
そんなふうに社会人は疲れ切っているのですが、“自由に使えるお金がある”というのも社会人の良いところ。
金銭によって他人に堂々と褒めてもらえる場所、ホストクラブに初めて行ってきました。
初回メニューは3000円程度
ホストと聞くと、「お金を吸い上げられる」というイメージですが、3000円程度の初回メニューを用意しているお店も珍しくありません。
そのため各店舗の初回メニューを渡り歩く“初回荒らし”と呼ばれる客も多いとか。
とはいえ、やはりホスト素人は「初回と見せかけて最終的に大金をだまし取られるのでは?」という不安をぬぐいきれず、とりあえずバラエティで見かけたことのあるホストがいる店を選びました。おばあちゃんなので、「テレビで紹介されていた=安心」と考えがちなのです。
褒められたい女友達を誘い、4人でついに初めてのホストクラブへ……!
受付を担当していたのは、ややチャラいけれど、一般的な社会人の範疇に充分入る雰囲気の黒髪男性でした。広告代理店とかにいそう。
拍子抜けしているところにメニュー表のようなものを渡されて、「ここに写真が載っているホストのうち、全員2人ずつ選んでください」と言われます。
髪を盛ったり、しっかりメイクするのは、もうトレンドではないらしく、写真のホストは皆「少し派手目な大学生」くらいの外見です。
しかし、全員がキラキラしており、こんな殿方とこれから話す……? 大丈夫か……? と再び怯える。
スタッフからは「この時間帯(閉店ギリギリの昼頃に来店しました)に珍しく混んでいるので、通常ならマンツーマンで接客するところを、4対1、2でしかホストをつけられない」と謝られましたが、緊張しているから、むしろちょうどよかったよ!
初対面の相手に「褒めてください」
さて、「お金を払って褒められたい」という感情を浅ましく感じている人もいるでしょう。
しかし、逆に言いたい。
お金を払っているからこそ、存分に褒めてもらえるんです!
たとえば日常会話で相手にポロッと褒められたとき、理性のある大人なら「もっと褒めて」、ましてや「そっちじゃなくて、こっちを褒めて」なんてリクエストできないでしょう。
また、会って早々「疲れているので、今日は褒めてほしい」というのも頼みにくい。しかし、ホストならそれが可能なんだなぁ。
こっちは客だという前提が勇気をくれて、会ってすぐのイケメン相手に「仕事を日ごろ頑張っているので、『仕事を頑張って偉い』と褒めてください」と堂々と頼みました。
向こうがいい感じの誉め言葉を言ってくれたら「そうです! もっとお願いします!」、ちょっと違うかなということを言ったら「向上心が強い、という辺りも……」と頼むこともできる。
自作自演? いえ、これはマッサージの一種なのです。
“施術される側”という立場から「そこもっと」と「もっと右」と注文をつけて、日々の疲れを癒していくのです。
そして、私は努力家で、真面目さと同時に向上心も持ち合わせている……そう、そういうことです……褒められ続けて大変気分がいい……。
もちろん彼らはプロなので、こちらが不快になることは言いませんが、気兼ねなく「それは嫌」と言ってもいい会話の場というのは、金銭を媒介しているからこそですね。