5月20日に行われたSUMMER SEASON最初の大会となる『HADO BEGINNER’S CUP #2』。この大会は、これまでとは異なり、1on1形式で行われた。
2度目の公式戦、少し場慣れした僕は、思いのほかリラックスしていた。しかし僕は、それでも“緊張”という言葉を連呼する。
必殺! 緊張伝播作戦!
沢野:あ〜、緊張する〜
緊張は伝播するものだ。僕がこう呟きまくれば、周りの人間も緊張する。しかし僕は、実際には緊張してないのでそのぶん有利になるという寸法だ。僕はこの作戦を人生の大事なタイミングでたびたび使用している。
すると、早速この作戦に引っかかるものが現れた。
社長:お〜い、沢野が緊張してるからこっちまで緊張してきたじゃねーかよー
同じチーム「いとわズ」で、僕の上司の社長だ。チームメイトとはいえ、今回は1on1の個人戦なので、作戦は成功。ひとまず良しとしよう。
遅刻者の正体…
僕はこの大会である目標を立てていた。入賞することや、チーム内パワーバランスのために大木や空閑を上回ることも大事だが、1番の目的は別にあった。
3月に行われた「BEGINNER’S CUP #1」準決勝で破れた相手、マックスファクターに勝つことだ。この化粧品みたいな名前のチームにリベンジを果たすことが、今後の僕のHADO人生に大きな意味を持ってくる。
モチベーションまみれの僕は、緊張する大木を余所に試合開始を今かいまかと待ち構えていた。しかし、時間になっても大会が始まらない。一名遅刻者がいて開始が後れているとのことだ。
沢野:(大事な大会に遅刻してくるなんて舐めたヤロウだ。しかも、聞けば僕の初戦の相手らしいじゃないか。これは楽勝だな)
それから10分ほど経過した頃にあらわれた男は、どこか見覚えのある顔だった。
沢野:あれ、もしかしてチームって…
shogo:はぁ、はぁ、、、マックスファクターっす
出た! マックスファクターだ! 彼こそ僕が倒すべき相手、マックスファクターのshogoだ!
因縁の相手は、汗だくでぜぇぜぇ言っていた。
VS遅刻魔shogo
1試合目、VS遅刻魔shogo戦。
1on1のコツなんてほとんどわからない僕だが、1つだけ心がけていたことがある。それはチャージ差を作ること。先に相手に打たせて、打ち返せない状態の相手を狙い撃ちし、試合を有利に運ぶという作戦だ。
しかし、試合が開始しても遅刻魔は弾を撃ってこない。
沢野:(なぜだ!? まさか…この男も僕と同じ作戦を実行しているのか!?)
にらみ合いが続くこと、7秒。こっちのチャージはとっくにマックスに溜まっているのに、遅刻魔はまだ動こうとしない。ここで僕は、あることに気付いた。
沢野:(まさか! シールドにステ振りしてるから、そもそもチャージに時間かかるじゃ!?)
マックスファクターは、シールドが好きなチーム。前回の大会もシールドに阻まれて僕たちは負けていたのだ。つまり、にらみ合って動かないという達人VS達人のように見えたこの試合、なんのことはない、ただ僕は相手の遅いチャージに付き合っていただけだった。
それに気付いた僕は、とにかく弾数で勝負に出る。そして、試合終了目前、僕の悪師匠・前P氏(ヒュブリス)直伝の“マーカーが外れた瞬間を狙う”というほぼ裏技のようなテクニックで2-1と勝ち越し、なんとか勝利をものにした。
VS筋肉優男かみさん
続く2試合目、VS社長戦を制した僕は、第3試合目でマックスファクター第二の刺客・筋肉優男かみさんとの勝負に挑んだ。
かみさんは、その筋肉隆々の肉体を駆使し、ムチャクチャに動き回るアスリートタイプ。正直、勝てる自信はあまりなかった。
かみさんは試合開始直後、ジャンプしながらシールドを張るという荒技を披露。その後も、華麗な横っ飛びや、しゃがみながら横にジャンプするという身体能力の高さを魅せるつける動きで僕の弾を避け続けた。
沢野:(もうバッタじゃん…)
動き回るかみさんに手こずる僕。しかし、よくよく見ていると気付くことがあった。
沢野:(この人、僕が弾打たなくても動くぞ)
かみさんは全身筋肉の塊、あまりにも動けすぎるので逆に止まることができないのだろうか? 一発撃つだけで、必要以上にびょんびょん跳ね回る。殴り合いになったら100%負ける僕だが、
沢野:(ちょっと可愛いな)
妙な上から目線になり、冷静さを取り戻すことに成功。
沢野:(動きが速くて当たらないから、動きそうな方向に適当に撃とう)
この作戦が功を奏し、僕はこの試合を3-0でものにした。試合後、飛び回って疲れたかみさんは、汗だくだったけど爽やかだった。
後編に続く…