竹下が可哀想だと思わないのか!
4月29日に開催されたDDTプロレスリングの東京・後楽園ホール大会に行ったところ、王者・竹下幸之介が12度目の防衛に失敗してしまいました。もうろうとしながら日々を過ごしています。
挑戦者・入江は「DDTをぶっ壊す」
私がDDTを見始めたのは、2017年1月のこと。竹下がKO-D無差別級王座に戴冠したのが同年3月のことでしたので、自分にとってDDT観戦歴の9割くらいが竹下政権なわけです。しかし、竹下は12度目の防衛試合で、入江茂弘に敗北しました。
入江は昨年12月から行方不明になっていました。12月25日にブログを更新して、DDTが開催するトーナメント「D王 GRAND PRIX」にエントリーされなかったことへの不満を吐露。
確かに大切な時期に何度も海外に行くワガママな選手は、使い辛かったのかもしれません。自分はあまり頭が良くないから、ちゃんと思っていることを伝えられなかったのかもしれません。自分では、自分のため、そしてDDTのために、大切な事をやっているつもりだったんですが…
プロレスとの向き合い方に関して、団体と食い違いがあることをにおわせて、急きょ年明けから海外に行くことを宣言。その後SNSなどの更新はなく、このままDDTのリングに再び上がることはないのではないかと不安視されていました。しかし、2018年3月25日に開催された東京・両国国技館大会で、久々に公の場に姿を現しました。王者・竹下に挑戦表明した彼は、「今のDDTは、自分が好きだったDDTではない。それなら、すべてをぶっ壊せばいい」と語りました。
孤独なチャンピオンだった竹下
竹下を応援しようか、入江を応援しようか、ギリギリまで迷った試合ではあります。悩み続けた入江がベルトを手にして、新たなDDTを創造する物語だって、もちろん見たい。入江に「DDTの中に、ちゃんとあなたの居場所はある」ということを伝えたいために応援したい気持ちもあったのですが、やはり今回の試合に関しては、“DDTの破壊者”というポジションの人間を応援する意味というところまで考えた結果、竹下を応援することに決めました。
苦労人に報われてほしいのは、わかる。でも私は竹下にだって報われてほしいんですよ。
竹下は、孤独なチャンピオンでした。ときに観客は、強すぎる選手に対して引いてしまう。とくに文化系プロレスを掲げるDDTのような団体においては。ベルトは持っているけれど、ピープルズチャンピオンではない。そこに竹下という選手の悲しみがありました。
それでも竹下は、団体のことを考え続けて、最多防衛記録を打ち立てたわけです。チャンピオンである自分よりも、外敵とも言える他団体の選手のほうに大きな声援が送られることがあろうとも。
センター候補が出ては消えるアイドルグループ
もちろん竹下にも至らないところはあるというか、「シリアスさが滲んでしまう」や「優等生っぽい」みたいな意見は、確かに……と感じてしまうし、「じゃあ原田さんは竹下ファンなんですか?」と聞かれると、いや、はっきり試合で竹下を応援したのは今回が初めてです……。チャンピオン竹下が気に入らない人々の感情も理解できます。
とはいえ、「なんか竹下気にくわんな」というところに、「DDTぶっ壊します」という人がやって来たら、「歓迎します。壊してください!」というのは、あまりにもファンとして受け身すぎる姿勢では?
AKB48グループなどでも、数多くの若手が未来のセンター候補としてプッシュされてきましたが、「センターとして、こんなに至らない部分がある」という批判を浴びた結果、どの子も消えていき、センター候補は次々現れながらも、グループの未来というものはいまいち見えない状況というのに陥りがち。ファンに大事なのは、ダメだと思ったら次を求めるのではなく、いったん待つ姿勢なのではないでしょうか。
……このへんの葛藤は、入江を応援すべきか竹下を応援すべきかを考えたときの私の中での感情なので、入江を応援した側を批判したいわけではないのです。
とりあえず、私は竹下が再びベルトを巻く日を見たい。そして、そのときは、自分がチャンピオンである状況をのびのび楽しんでもらいたいなと思います。ベルトを落として身軽になったぶん、他団体にも参戦してみてほしいなー。
今予言しておきますけど、きっと竹下は2年後、3年後にめちゃくちゃ面白い試合をするようになっていますからね。だからその日まで、私は数年間の眠りにつく……と思ったけど、やっぱり竹下の変化をこの目で見たいので、しっかり起きて、せっせとDDTに通います。