67勝74敗2引き分けの4位。優勝も2年連続の日本シリーズ出場もかなわず、3年連続のクライマックスシリーズ進出もならなかった横浜DeNAベイスターズの2018年は、残念ながら不本意なシーズンだったと言っていいだろう。
“25発カルテット”が誕生するなどチームホームラン数こそ181本とリーグトップだったにもかかわらず、なぜか総得点はリーグワースト。それはひとえにチーム打率がリーグ最下位と、言ってしまえば打てないチームだったからに他ならない。ソトのホームラン王獲得というプラスの話題の一方で、ホームランでしか点が取れない野球をしてしまっていた。
チーム防御率もリーグ5位。新人王を獲得したルーキー東が11勝に防御率2.45と素晴らしい成績だっただけに、昨年のピッチングスタッフが普通に活躍してくれていれば…という横浜タラレバが何度頭に浮かんだことか。
とはいえ、チームが好調な時期もあったし、主軸の活躍に目を細めたことも一度や二度ではないし、最後の最後までクライマックス進出に望みをつなぐ3位争いができていたことも事実。そう、実はそんなに悪くないシーズンでもあったのだ。ただ、去年一昨年は味わえた興奮に今年はありつけなかったというがっかり感が、楽しい思い出を上回ってしまった。贅沢な話をしているのは重々承知だが、横浜も強いチームになってきたということか。
残念な気持ちになる振り返りはこの辺にして、今年のベストゲームの話をしよう。「3者連続ホームラン」というそれだけでも語り草になる出来事を、なんと2年続けて夏のハマスタで、それも広島相手に実現してしまった8月17日の勝利も印象に残っているが、3連発は去年やってことでもあるので今年は選外とした。今年は、サヨナラ勝利の中から選んでみよう。
3位:代打ウィーランドからの倉本サヨナラ(8月3日対広島)
ここでも書いたが、とうとう代打ウィーランドが実現した試合。実はこの代打は、野手を使い尽くした結果などではなかった。ウィーランドは、前日の試合に先発している。この日は、本来であればベンチ入りすらしないはずの日。それを、広島相手の相性の良さを買って、ラミレスが上がりにせずベンチに入れたのだ。
同点で迎えた延長11回裏という、これ以上ないタイミングで秘策を繰り出したラミレス。前日の試合で負け投手となっていた悔しさを胸に、粘りの四球で応えてみせたウィーランド。サヨナラヒットを打ったのが今年悔しい思いをし続けた倉本だったというのも、グッと来るものがあった。
2位:ソト怒りの2ホーマー(9月17日対阪神)
この試合はいろいろかっこいいシーンがあった。まずは初回、ソトが自分の胸元をえぐるようなボールを投げた阪神先発の岡本を睨みつけると、阪神ベンチがヒートアップ。対するソトも、今度は阪神ベンチを睨みつける。その直後のストレートをセンターバックスクリーンにぶち込んでみせたソトの、打った瞬間のドヤ歩き(と岡本睨み)のなんとかっこよかったことか。
1点ビハインドの8回には、宮崎が藤川から同点ソロをレフトに放った。フォークにうまく反応した宮崎。打球の行方を見ながら藤川は、思わずマウンドで膝をつく。全盛期の藤川ではないとはいえ、なんか名勝負っぽいシーンだった。
そして延長10回。2アウトランナーなしからその宮崎がこの日4本目のヒットで出塁すると、続くソトがこの日2本目となる33号サヨナラホームランをレフトスタンドに叩き込み熱戦に終止符を打った。
1位:山下涙のサヨナラヒット(5月31日対楽天)
ベストゲームはもちろんこれでしょう。まずは1点ビハインドの9回、2アウトランナーなしから筒香が同点ソロを岸から放つ。これぞ4番という一振りで試合を振り出しに戻すと、10回2アウトから代打桑原の2ベースに続き山下がライトオーバーのサヨナラタイムリーを放った。
山下はこれがシーズン初打席。プロ入り後3年間、なかなか1軍で結果を残せず、昨シーズンはエラーから2軍落ちしそのままシーズンを終えている。今シーズンも一度1軍に昇格しているものの、一度も出番がないまままたファームに戻るという悔しさも味わった。それをバネにファームで研鑽し、再昇格した日にプロ初のサヨナラヒットだ。
もう、号泣。グラウンドで、戸柱の胸で号泣。ファームで頑張っていたのを知っている他の選手も祝福&もらい泣き。ヒーローインタビューも涙で言葉にならない。もちろん、ファンも号泣。こういう試合があるから、ファンはやめられない。