筆者含めたホラー映画好き6人が“怖さ”について語り合う座談会。話が盛り上がった結果、ホラー映画界の未来についても考えてしまったぞ!
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このへんでゾンビは原点に戻ってみよう
ALEX:生活圏を侵食してくるような話はすごく怖いですよね
キタムラ:自分の家にドカドカ上がりこまれるのとかも怖い。ホラーじゃないんですけど、小林勇貴監督の『孤高の遠吠』っていう不良映画で、ヤンキーが普通に家に入ってきて、『ご飯ください!』とか言ってくるシーンがすごく嫌だった
Taro:V6の森田剛主演の『ヒメアノ~ル』もそんな感じですよね。ヤバい奴にたまたま目をつけられてしまう
――『ファニーゲーム』も同じタイプですね。確かに、自分のテリトリーを侵されるような描写は引きずる怖さがあります。外国の湖に殺人鬼がいると聞いても、正直「ふーん」で終わってしまう部分はある。でも、「これは自分の身にも降りかかる可能性がある」と想像させられると……。
海老:だから小学生の頃、『リング』が本気で怖かったんですよ! 家にたくさんVHSテープがあったので、その中に紛れ込んでいるかもしれないし、うっかり再生したら、画面からこっちに入ってきちゃうかもしれないと想像していました
ミウラ:ところで、みなさんゾンビは好きですか?
キタムラ:ゾンビが嫌いな人はあまりいませんよ
――ジョージ・A・ロメロは、立ち位置がゾンビ寄りになっていきましたよね。『死霊のえじき』でゾンビとの交流を描いた後、『ランド・オブ・ザ・デッド』では完全に、人間に虐げられる可哀想なゾンビたちという描き方になった。
Taro:ゾンビ系はアイデア勝負というか、どんどんバリエーションが増えていって、どれだけ斬新なゾンビ像を作れるかという時代になっています
ALEX:いっそ原点に返ってみたほうが面白いかもしれませんね。ブードゥー教の司祭に使役される存在としてのゾンビ!
動画配信サイトは“事故”を促進するか?
ミウラ:皆さんって、なにがきっかけでホラーが好きになったんですか?
キタムラ:僕は小さい頃、すごく怖がりだったんですよ。でも小学校6年生のとき近所にツタヤができて、レンタルでいろいろ見ているうちに好きになりました。その年頃って多かれ少なかれ残酷なものに興味を抱きがちじゃないですか。なので、『デスファイル』とか片っ端から見ていました
Taro:僕も田舎なんでビデオレンタルくらいしか娯楽がありませんでした。それでレンタルビデオ屋ではSFとホラーが一緒の棚にされていて……。そういうところから目覚めたんじゃないかな
ミウラ:ホラー映画を見る動機として、ちょっとエロいっていうのもありますよね?(笑) 『これはエロい描写もあるけど、あくまでホラーとして見ているから』って言い訳が効く!
ALEX:しかもホラー映画だと親が一緒に見たがらない(笑)。怪物とか殺人鬼とか、人が死ぬのをバンバン見れるうえに、上手くいけば好みの姉ちゃんのおっぱいも見られる。ホラーって全部の下心がカチッとハマるんですよね
海老:昔は自分の部屋にテレビ置くなんて真似できませんからね
Taro:ビデオデッキなんて茶の間に1台でしたよね
――レンタルビデオ屋は、子どもがうっかりホラーを手に取る“事故”が生まれやすい場所なんですかね? となると、きちんとジャンル分けされて、自分が興味のないジャンル以外は目にしないですむ仕組みになっている動画配信サイトが主流になってくると、もともとホラーに興味のない人間がホラー映画に触れる機会がどんどん減ってしまうんじゃないかと心配になります。
ALEX:でもNetflixのジャンル分けって、正直ちょっと雑じゃないですか?(笑) 『この作品をこのジャンルに分類しちゃうの!?』みたいなことが、ちょこちょこある
キタムラ:あとインターネットの時代は、“事故”の確率はむしろ上がっているんじゃないでしょうか。変な動画がSNSで流れてきたり……
――確かに。ホラー映画界は安泰だ!