今まで見た中で”変なプロレス興行”1位といえば、昨年6月に東京・後楽園ホールにて開催された、みちのくプロレス「ムーの太陽祭・2~異端邪説~」でした。しかし、2月4日に観戦した「ダイニチ冬の上野プロレス祭り」最終日も負けず劣らず変でした。これもプロレス、あれもプロレス……。大日は今、お笑い×ストロング×デスマッチと多彩な試合を展開できることを強みに、動員を伸ばしてきています。昨年末の「年越しプロレス」をきっかけに興味を持ち、初めての大日へ。「ダイニチ冬の上野プロレス祭り」は、東京・上野恩賜公園野外ステージで開催なので、めっちゃ寒い。
お笑い色の強いプロレスといえば、私がメインで観戦しているDDTプロレスリングも有名です。ただ、DDTだと、「ここまではお笑いでしたが、ここからの試合は手に汗握って観戦してください」という感じで、お笑いと、ハードな試合の境界は結構かちっと引かれがちな印象(竹下幸之介vs男色ディーノや、竹下幸之介vsコルト”Boom Boom”カバナはそのへん融合していてよかったですね)。
一方で、大日はもっと境界があいまい? デスマッチで流血しながらコント的なやり取りを繰り広げるのは、痛そう……でも楽しい……でも血が出ている……と新感覚でした。
メインイベントの「大日本プロレス東西対抗戦~8人タッグマッチ 30分1本勝負」は、輪をかけてトンチキな試合です。
豊臣大介&宮本裕向&ツトムオースギ&ヘラクレス千賀の”西軍”と、スタン・小林&徳川竜二&バラモンシュウ&バラモンケイの”東軍”に分かれて争うはずが、その他の選手も巻き込む乱戦へ。すると”神”が出てきて、両軍の選手たちに、コーラ早飲み対決やキス対決、騎馬戦、俳句対決、水かけ合戦などで闘うように命じて、最終的に植木嵩行扮する”東西線”が登場するも徳川竜二に体固めで敗北し、なぜか東軍勝利。
すると鈴木秀樹が急にリング上にやってきて、東西線に発砲して東西線が死亡。しかし、現れた坊主による読経で復活し、めでたしめでたしとなったところでエンディング……。
何を言っているのかわからないと思うんですけど、完全にこの通りですし、現地で観戦している私も「これは何を見ているんだろうな?」と思っていたので責めないでほしい。野外なのにバケツで水がバンバンまかれるので、私の体が丈夫じゃなければ死んでいたぞ! しかし、それを補って余りある楽しさ。
プロレスって幅広いなぁと、心の底から感じました……。その幅広さが、やっぱりアイドル業界っぽい。パフォーマンススキルの高さを武器にしているハロプロもいれば、ちんぽやくざもいるのが現代アイドルシーンですよ。ちんぽやくざ、解散しちゃったけど。
某アイドルがちんぽやくざに対して、「こんな名前でもライブがよかったら、すごくかっこいいのに、酔ってぐだぐだのライブしているから超つまらない」とお怒りでしたが、”ライブがめっちゃかっこいいちんぽやくざ”という架空の存在は、ちょっと大日に近いかもしれない……。どうだろう、それは新宿二丁目プロレスのダイスケ引退興行かな……。新宿二丁目プロレスも楽しかったね……。
すごく変なものを見れたなぁという感動がありましたし、会場の温かさも印象的でした。グレート小鹿会長の孫気分を味わえる。プロレス界のレジェンドである小鹿会長は御年75歳。野外の会場は寒いから休憩明けに帰りますとアナウンスされたのを、観客みんなで笑って聞いて、アットホームな団体です。休憩中に選手たちが、グッズを手売りするために客席を練り歩くのも楽しかった。私は小鹿会長から、小鹿カレー700円を買いました。
また5月に「上野プロレス祭り」を開催するらしいので、そちらも逃さず行きたいな。5月なら暖かいので、どんなに水をかけられても大丈夫! プロレス=痛そうで怖い闘いみたいなイメージを抱いている人ほど、大日の上野プロレス祭りに行ってショックを受けてみてほしいです。
そして関本大介は、目がくりっとしていてキュートな顔立ちなのに、体の厚みがすさまじいな。キューピー人形が改造手術を施されて戦闘マシーンに仕立て上げられたら、こんな感じかもしれない……と思いながら応援していました。関本とDDT・樋口和貞のタッグ、目に優しい。