1980年12月、ニューヨークの自宅で凶弾に倒れて亡くなったジョン・レノン。死の直前にリリースされたオノ・ヨーコの共作アルバム「ダブル・ファンタジー」のジャケット写真を撮影した写真家の篠山紀信氏が、14日深夜放送のTBS系「ゴロウ・デラックス」で当時の思い出を語っていました。
ニューヨークにあるセントラルパークの池のほとりでジョンとヨーコがキスをする、あまりに有名なジャケット写真ですが、篠山氏はヨーコから電話で「アルバムを作るから。そのジャケットを撮ってください」と依頼を受け、レコーディング中のスタジオで初めてジョンに対面したのだそう。
当時ジョンとヨーコは「ダコタ・ハウス」という有名な高級集合住宅に住んでいたわけですが、夕方くらいになって「ちょっと、ジャケット撮りに行こうか」と軽い感じでセントラルパークに行くことになったのだとか。「夕方、セントラルパークをずっと歩いて、下に池があって、その横にベンチがあったんで、『ちょっと座ってみたら?』『キスしてみたら?』みたいな、ほんとに簡単な感じで」と、自然な雰囲気で撮影が行われたそうです。
ところで、ジョン殺害犯のマーク・チャップマンは、犯行前にジョンからレコードジャケットにサインをもらっていたと言われていますが、そのジャケットこそ、この「ダブル・ファンタジー」。皮肉にもジョンの遺作となってしまったわけですが、篠山氏は「全部カラーで撮ったんですよ。だけど、出来上がってきたのはモノクロなんで、『え? なんでかな?』って、ちょっと不吉な感じはしたんだけど、でも撮ってるときはまさかあんな事件が起こるとは思わないわけですよ」――。
撮影中にはジョンと2人きりになる時間もあったという篠山氏。あまり多くは話せなかったらしく「そのとき、もうちょっと英語を勉強しとけば良かったと思ったんだけど」と悔しそうではありましたが、ジョンは「これから新たなクリエティブな活動をしたい」と、未来について語っていたそうです。