女子プロレス業界全体でハードコア&デスマッチが盛り上がる中、ついにハードコア&デスマッチを中心とする女子プロレスユニット「プロミネンス」が誕生。4月24日、東京・新木場1stRINGにて記念すべき旗揚げ戦が行われました。
時にリーダーというのは、孤独を感じるもの
プロミネンスのメンバーでありながら、凶器を用いるような試合の経験はまだ浅い宮城もち改め「夏実もち」と、デスマッチの経験豊富な植木嵩行。プロミネンスのリーダーとなった世羅りさと、デスマッチ団体「FREEDOMS」代表取締役である佐々木貴。旗揚げ戦というだけあって、これからの戦いに向けた覚悟を問うような試合が続きました。
特に世羅と佐々木のリーダー対決がよかった。蛍光灯の破片が散らばり、リングが血で真っ赤に染まる激闘を制したのは、佐々木でした。試合後のマイクは、勤め人の胸に刺さるものだったのではないでしょうか。
「時にリーダーというのは、孤独を感じるものだ。団体を背負い、興行を背負い、自分も選手としてリングに上がる。お客さんの反応も気になる。お客さんの入りも気になる。次の大会のお客さんの反応もSNSも気になる。でも、そんなのは団体代表だけだ。ほかの選手が気にしているのは、自分の評価、自分の人気、自分のグッズの売れ行き。正直そんなもんだ。俺も孤独を感じて嫌になりかけたことが何度もある。組織を背負って、ファンの皆さまの思いを背負って、選手の肉体と命と健康管理、生活、その向こうにある家族、全てを背負った上でリングでデスマッチをやる覚悟がお前にあるか?」
自分は我ながら仕事を頑張っているほうだとは思いますが、やはりいちプレイヤーとしての視点しかない。近年は少しずつ変わってきたものの、それでも“自分の評価”が一番気になってしまうというのは否定しきれない。どんな組織であれ、トップに立つ人間が背負うものは、その他の社員と桁違いでしょう。上司に感謝……。
良くも悪くも自由な立場でいたくて、自分サイズを超える責任を避けていましたが、重い荷物を背負って歩き続けたからこそ見える景色もあるのだろうなと思わせる試合でした。30代というタイミングでこの試合が観られてよかった。
18歳で男子選手とデスマッチをして批判殺到
覚悟を確かめるような戦いが続いた後で、メインの試合に立った鈴季すずは、もう覚悟が決まっている選手ではある。昨年は男子選手たちと「ハードコア7番勝負」を戦い抜き、「18歳の女の子が何てことをしているんだ」と批判が殺到した彼女。開拓者とは、険しい道を進むものだ。大炎上の果てにそれでも戦うことを選んだすずは、この日とにかく楽しそうでした。
タッグパートナーは、「ハードコア7番勝負」で対戦したこともあるデスマッチ界の生ける伝説・葛西純。試合後のマイクでは、葛西が前回対戦したときのすずについて、「あのときのお前は人生迷いながらデスマッチしてた」と振り返り、「でも今日組んでみて、胸張って堂々とデスマッチやってるじゃねーか。胸張って堂々と血、流してるじゃねーか」と声をかけました。この言葉には、すずも思わず涙。葛西、全てが粋!
その後は、すずが世羅に次回大会での対戦を要求。覚悟を認められたすずと、リーダーとしての覚悟が決まった世羅のシングルマッチの行方は――? このカードをもう切るのかと驚きつつも、プロミネンスはこれからの団体ですもんね。出し惜しみしない攻めの姿勢を応援していきたい。
「レッスルガールズブラボー!」第2弾もよろしくね
鈴季すずといえば、3月に自分が聞き手を務めたトークイベント「レッスルガールズブラボー!」のゲストです。彼女の人生が動いた瞬間についてインタビューしましたが、間違いなくプロミネンス旗揚げ戦も忘れられない試合になったことでしょう。いつか、この一戦についても聞いてみたい。
そんな「レッスルガールズブラボー!」第2回の開催が決定! 5月10日に新宿ROCK CAFE LOFTにて、今度のゲストはアップアップガールズ(プロレス)の乃蒼ヒカリ選手です。北海道のプロレス大好き少女は、いかにして東京で女子プロレスラーとなり、デスマッチファイターの道を歩み始めたのか? 図らずも女子デスマッチ選手が続きました。女子デスマッチ、盛り上がっているからね。
第2弾もよろしくね! 配信もあるよ! という告知で今回は終わります。