東京・豊洲の360°回転劇場、IHIステージアラウンド東京に『メタルマクベス』disc2(10月25日まで上演)を観に行きました。今回も景気がいい! 景気がいいので元気が出る!
しかし、昨年3月のオープン時からIHIステージアラウンド東京で公演を続けていた劇団☆新感線が来春から全国ツアーに入るらしく、一体どうなるんだ。IHIステージアラウンド東京。
1万3500円のチケットが連日完売
同劇場で前回観劇した『髑髏城の七人 Season月』に続き、『メタルマクベス』disc2も大変お金がかかっていそうな演劇でした。ステージが広いぶん、大掛かりなセットが組み放題! 座席は動くし、生演奏だし、プロジェクションマッピングもあるし、ステージ上をバイクが走るし……。
尾上松也と大原櫻子を始めとした豪華出演陣のスケジュールも1カ月以上抑えるわけですし、この舞台を作り上げるのにいくらかかっているのかしら。チケット代が1万3500円とかなり高価なのに、1300人以上を収容できる客席は連日満席。景気のいい話があったもんですよ!
お金ってあるところにはあるんだなぁ。チケットノルマに苦しむ小劇場俳優が見たら、悲しみのあまりご飯が喉を通らなくなってしまいそうです。
その景気の良さに惹かれて、IHIステージアラウンド東京という会場自体のファンも増えてきている印象。私が観劇した日の観客の男女比は圧倒的に女性が多く、他のどの劇場とも違った活気のある雰囲気です。この女性客の多さは原嘉孝(宇宙Six/ジャニーズJr.)が出演していることも関係しているのかもしれませんが……。原嘉孝さん、めちゃ歌ウマでびっくりしました。
劇団☆新感線は劇団四季になるのかと思っていたら
IHIステージアラウンド東京は昨年3月より、こけらおとし公演として劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』を『花』、『鳥』、『風』、『月』の4シーズンに分けて約1年3カ月かけてロングラン上演しました。その後、劇団☆新感線と宮藤官九郎が初タッグを組んだ『メタルマクベス』が今年7月より上演スタート。こちらも『disc1』、『disc2』、『disc3』と3シーズンに分けて約5カ月間にわたって上演されます。
劇団☆新感線はこのまま実質IHIステージアラウンド東京を専用劇場のようにして、劇団四季的なドメジャー街道に躍り出るのかしら……と楽しみにしていましたが、劇団☆新感線は来春より結成39周年を記念した全国ツアーに入るそう。
ということは、別の劇団がIHIステージアラウンド東京で公演をするのでしょうが、あの劇場のスケールの大きさにふさわしい劇団とはどこだろう? 客席が動くというケレン味たっぷりの会場を他の劇団がどう使うかは気になるところですが、『髑髏城の七人』も『メタルマクベス』もあまりに楽しかったので少々寂しい気持ちもあります。
IHIステージアラウンド東京の舞台、敷居が高いのでは?
やはり「客席が動く」というのはコンセプトとしてデカい。普段まったく観劇をしない人間だとしても、「客席が回転します」と言われたら、「えっ、ものは試しに行ってみたい」となりそう。アトラクション性があるのは強いですね。
だからIHIステージアラウンド東京は、観劇人口を増やすポテンシャルを秘めている! ……と思っているのですが、いかんせんネックもデカく……。
まずひとつは先述の通り、チケット代が高いこと。「もっといろんな人に見てほしい! 友達とこの舞台の話がしたい!」と思っても、やはり舞台を全然観ない人に「1万3500円のチケットを買って一緒に行こうよ」とは誘いづらい。
また、もうひとつは上演時間のべらぼうな長さです。『メタルマクベス』disc2は、前半1時間50分で休憩20分、後半1時間45分の合計3時間55分。舞台自体はとても楽しくても、さすがに途中から腰が痛くなってくる長さ。あと10分長ければ尻が死んでいた……。チケットが手に入るならもう1回行きたいほどの満足感は得られたものの、体力面を現実的に考えるとリピートはキツいかもしれない。『髑髏城の七人 Season月』も同じくらいの上演時間でした。
チケットの値段が高いことに関しては、この値段でも大入りなわけですし、そのぶんゴージャスなものを見せてくれているので今のままでも問題ないといえばない。誰もが知っている有名芸能人が出演しているので、ありがたい気持ちになれる。
とはいえ、上演時間に関しては改善していただけると嬉しい……具体的に言えば、休憩をもう1回挟んでもらえるだけでもだいぶ助かるのですが……。
ということで、次にIHIステージアラウンド東京を使う劇団には、見やすさ、気軽さも期待しつつ。まぁ「次も上演時間は約4時間です」と言われたところで、また観に行っちゃうんですけどね。