芸能人がテレビで発言した面白コメントをそのまま文章に起こしたようなネットニュースを読んでも、実際にその番組を観たほどには面白く感じない、というのはありがちな話でしょう。筆者のごとき一介の芸能エンタメ記者の乏しい文章力ではなかなか微妙な空気感までは表現しきれないのが悩ましいところなのですが、芸能人の中でも特に記者泣かせなのがGACKT様でして……。
間
ガックンから漂う耽美的なムードと、まるで異次元に生きているかのように時間の進み方が他人とは明らかに違う落ち着き払った喋り方、発せられるスウィートな低音ボイス……から繰り出される、まさかの一言。おそらく常人が同じことを喋ったとしても特に面白いとは感じないような“普通のこと”なんですが、ガックンの場合はなにせ特異すぎるほど特異な雰囲気という“前フリ”がしっかり効きまくっているわけです。
落語でいうところの「緊張」と「緩和」。しかし落語の場合は言葉で構築されたネタの中で緊張状態が作られ、そこから“サゲ(オチ)”という緩和へ移行するときのカタルシスによって笑いが生じる(と言われている)わけですが、ガックンの場合はというと、言葉以外の要素が緊張や緩和を作り出す大部分を占めているので、やっかいです。
とまあ、言い訳はこれくらいにして、なんとかチャレンジしてみます。28日放送の日本テレビ系「スッキリ!!」の「クイズッス!」にVTR出演したガックン。黒バックでライト浴びまくって神々しいお姿。チェアに腰掛けて、もちろん脚、組んでます。
「加藤さん…、春菜さん…、天の声さん…、おはようございます…。GA、GA、GA……、GACKT…どぇす」
あ、言い忘れましたが、ガックンのセリフは低血圧っぽい喋り方といいますか、語尾に「フゥ…」とか「あぁ…」といった、言葉にならない吐息のようなものが漏れている感じを補完しながら読んでくださいね。
そしてガックンからクイズの出題。以前スノボで転んでしまい、あまりの自分のブサイクさが許せなくて、あることをしたのだそう。その答えは「あまりの悔しさに歯ぎしりをして歯を折ってしまった」とのこと。「体の痛みは我慢できるけど、心の痛みは許せない」と尋常ではないストイックさを明かしたガックンですが、インタビュアーから「そのとき、どう思われましたか?」の質問に、
「どう思われた…? フッ……、僕が…?」
(しばし沈黙するガックン……)
(尺をふんだんに使うガックン……)
(スタッフの動揺も我関せずのガックン……)
(そして永い眠りから目を醒ましたガックン!)
「………………歯が折れた、そう思ったね」