「マイブーム」や「ゆるキャラ」といった言葉の生みの親としても知られるみうらじゅんが出演した29日放送のNHK「ごごナマ」は、MJ(みうらじゅん)ファン必見の回でしたー。
本業は何? と頭を悩ませるタレントとしては所ジョージやリリー・フランキーに並んで多岐に及んでいるみうらじゅん。自身も「ほぼ(イラストレーター)“など”が仕事」とおっしゃっていましたが、これまでに「仏像」だったり「いやげ物(嫌な土産物)」だったり「とんまつり(トンマな祭り)」だったりと、それまで誰も注目しなかったヘンな物事にクローズアップしてはポップに紹介するという、独自の世界観を築いてきました。
みうらじゅんの発想、その原点は?
今回の放送は、そんなみうらじゅんの“発想の原点”をひもとく内容だったのですが、例えば世間的によく知られている「ゆるキャラ」はというと、もともと全国の奇祭「とんまつり」を取材するために地方をめぐっていたとき、各地で見た「堂々とキャラクター然としたフリをした、全然知らないキャラクター」が気になったことが発端だったのだそう。
「見知らぬキャラクターに子どもたちは集まってこない。不気味なんですよね。だからキャラクターっていうくくりではこの人たちは存在理由がないから、ゆるキャラっていう世界を作ってあげればいられるんじゃないか」と思って、「ゆるキャラ大図鑑」を刊行することに。
しかし、当時はもちろん“ゆるキャラ”という言葉自体がないわけで、自治体としても“ゆるい”とカテゴライズされることが気に食わず、まったく協力してくれなかったのだそう。「こっちが『ゆるキャラ貸してください』っていうもんだから、あっちも怒ってらっしゃって。『ウチはゆるくないぞ』っていうことで」と、苦労があったんですねー。
趣味を仕事に…というわけじゃない
そんなみうらじゅんの仕事から、世間的には「趣味を仕事にしている」と思われがちですが、本人的にはまったく違うんだそう。
小さい頃から怪獣が大好きで、でもオモチャを買ってもらえる環境ではなかったため、いろんな雑誌などから写真を切り抜いてはスクラップ帳に貼り付けて集めていたというみうら少年。
そのスクラップ帳も今回披露されましたが、「これ、友だちに見せる用なんですよ。僕、ひとりっ子なんで、友だちが家に遊びに来たとき帰って欲しくないから、色々押し入れからその人に合うような『気まぐれシェフのサラダ』を出してたんですよ。(スクラップ帳も)その中の一環だったんで、確実に読者がいるんですよ。趣味の人って読者がいないじゃないですか」と明かしていました。
自分の趣味ではなく、楽しんでくれる“読者ありき”で作るということがスタート地点なので、何を始めるにしてもまずはその対象を自分自身が「好きになる」ことから始めるのだそう。
「趣味は好きで入りますけど、僕は『気になる』くらいで始めるんで、“自分洗脳”を仕掛けていかないといけないんで、そこには大量なお金をつぎ込むことによって、元を取りたいっていうケチ根性から好きになるっていう方法もある」とのこと。
その例として、スタジオにはみうらじゅんが所有する昔懐かしい大量の“ゴムヘビ”が登場しましたが、「もう、お祭りでも売ってないんですよ。これは救わなきゃっていうことで集めてたんですけど、別に好きじゃないです、コレ。好きになれないっていうか。でも絶滅種だから、誰かが保護しないと、っていう義務感が先だったんですよ。基本的にはいらない」と……もはや「業」ですね、ここまでくると。
みうらじゅんのマイブーム変遷
ところで、みうらじゅんの「マイブームの変遷」は、1960年代の「怪獣ブーム」から始まり、70年代の「ウシブーム」や、80年代の「ふんころがしブーム」、90年代の「カスハガブーム」、2000年代の「アウトドア般若心経ブーム」などなど、挙げればキリがないんですが、その一つに「崖っぷちブーム」というのもありました。
哀愁がある雰囲気だったり、景観が良かったり、せり出す角度が絶妙だったり、という崖を求めて全国を巡るというものなのですが、「崖」といえば、2時間サスペンスドラマの帝王こと番組MCの船越英一郎。
みうらじゅんに「これまで一番良かった崖は?」と尋ねられると「難しいんですけど、思い出のある崖っていうことになりますね。1回だけ僕、犯人やったことあるんですけど、初めて崖を背負ってみた。『バーカ、崖に立ったって告白なんかしないよ』って思ってた気持ちが、背負った瞬間にガラッとひっくり返って、『うわ、おれ喋りたい』って思った。そんな崖が三段壁(和歌山県)」と、ここからは一気に“崖トーク”に!
みうらじゅんも「ああ、エスカレーターみたいなので降りられるところですよね! どこら辺に立たれたんですか?」と興味津々で、2人の崖トークは止まらず。すると今度はそこに美保純も「私もいつも犯人で(崖に)立たされるんですけど、生い立ちから何から喋らされて、『早く捕まえて!』って感じ」と参戦してくるという、まさかの化学反応!
阿部渉アナウンサーに制されるまで止まらないという、崖ファンにもアツい回となりましたー。