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【食戟のソーマ最新話レビュー】割愛劇! 292話「持つ者と、持たざる者」

Amazonより

前話から“異能”という新たなワード、今作においてのルールが追加された。得意技と異能の違いは、特別感の差。かみ砕いてしまえば、現実世界でありえるのが得意技で、マンガだからこそ成立するのが異能といったところだろう。だが、やっぱりその境界線がちょっと曖昧だった。

定義が曖昧な“異能”

裏の料理人(ノワール)たちは、様々な異能を前話で見せつけていた。ある者は料理とはほど遠い武装をし、ある者は意味も無くギロチンで肉をスライスした。ぶっとびグルメ漫画大好きの筆者としては大歓迎の展開なのだが、ちょっとわかりづらい部分がある。そのわかりづらい部分に、292話「持つ者と、持たざる者」で余計にモヤがかかってしまった。

裏の料理人は異能を持っているが、表の料理人が異能を持っていない。そう明確化されたあと、「しかし、表でも研鑽を積んだ料理人は異能に近い力がある」という定義が作られた。これはルールができあがった瞬間にルールを壊しているのと一緒。ストーリー展開において有効なインパクトを与える場合もあるが、異能自体がまだ曖昧だったため、少しばかり読者を置いていってしまった印象が否めない。

今話で表の料理人・司英士は、「異能でしたっけ?なんのことかよくわからないですけど、とにかくスペシャリテを出せばいいんでしょう?」と言い放ち、超巨大グレーター(チーズやトリュフをすり下ろす調理器具)を使って牛フィレ肉を調理した。これはまだ、“得意技の先に異能”感がある。

問題なのは続いて登場した田所恵だ。田所は十席入り後、海外留学を繰り返し、“魅せる”ことの大切さを知り、得意のホスピタリティ料理を伸ばした。しかし、ここで作ったのは、バーナーで肉をジューシーに焼き上げる料理。明らかに、異能の域に達していない。現実世界で見たことがある。そしてタクミ・アルディーニも、メッザルーナという半月包丁を使用したが、これも既存のものであった上、それをどう使ったかも描写されていなかった。

衝撃の割愛劇!タクミのアイデンティティが消される……

タクミが割愛されたのは料理だけではない。メッザルーナに異能感さえあれば、それほど問題ではない割愛だった。だが今回は、タクミのアイデンティティに関わるものまで割愛されてしまっていた。それは、メッザルーナそのものだ。

タクミは、美作昴との勝負にメッザルーナを賭け、敗北して奪われていた。タクミにとって魂であるメッザルーナは、創真によって取り返されたが、タクミはプライドからそれを受けとらなかった。そしていつか創真と勝負して勝った時に取り返すと、約束をした。これは主人公・創真と初期ライバル・タクミがライバルであり続けるための大事な要素であり、タクミの今作においてのアイデンティティだ。

なのに今話でタクミは、当たり前のようにメッザルーナを使用している。メッザルーナが創真の手元に渡って丸1年。確かに料理勝負をする機会はいくらでもあったのだろうが、それを描かないのは悲しすぎる。たとえ、今は割愛してスピンオフとして出したとしても、それは後付け。今回、メッザルーナを出すタイミングでここに触れなかったのは、読者にとって大きな事件だ。

さらに続く衝撃の割愛劇……

気になるのは、創真の異能だ。しかし、これも割愛されてしまう。そして気付いたら、現在戦っているハズの「THE BLUE」第三の門の課題は終了しており、「THE BLUE」本戦のトーナメントらしき戦いが開催されていた。このダイナミックな割愛劇。マズイ匂いしかしない。

割愛自体はありだとは思う。展開にスピード感とサクサク感が出る。しかし問題なのは、作者側が「第三の門」と関門の数を自由に設定していることだ。これが何年も前から設定してしまっていて、ここにきて割愛したくなったのならともかく、この関門が設定されたのは、たったの数週間前。つまり、急に第三の門を飛ばしているのは、明らかに数週間前の予定からズレている証拠なのだ。

打ち切りがどうとかそういうのはよくわからないが、目先のストーリーをコロコロ変えざる負えないような自体が作者の周りで起きているのだとしたら、非常にマズイ。

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