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【ロシアW杯全部見る】アナーキー・イン・ザ・PK

イゴール・アキンフェエフ、ダビド・デ・ヘア、カスパー・シュマイケル、そしてダニエル・スバシッチ。昨晩の2試合でゴールマウスを守った4人のGKの中で、恐らくもっとも世界的な評価の高いデ・ヘアだけが、PKを1本も止められませんでした。

ダビド・デ・ヘアの苦悩

元々PKがあまり得意ではない(マンチェスター・ユナイテッドの練習では20本連続で決められたこともある)とされているデ・ヘアですが、ロシアW杯では最初から最後まで低調なパフォーマンスでしたね。初戦のクリスティアーノ・ロナウドのシュートを防げなかったことが、すべての流れを決めてしまったような印象があります。

今大会のデ・ヘアは、枠内に飛ばされたシュートのほとんどを得点に繋げられています。4試合の被枠内シュートは合計で8本、失点は6。昨晩のPK戦も含めると12本中10本がゴールになっています。トップレベルのキーパーにとって、これはいささか異常な数値です。

スペイン代表のGKに特有の難しさとして「被シュート数が少なすぎてリズムが掴めない」という問題があるかもしれません。昨日の試合でスペインは1100本以上のパス(ロシアの4倍!)を回し、ボール支配率は脅威の75%。グループリーグの試合も似たようなもので、圧倒的なポゼッションが適切な集中力を保つうえでマイナスに作用していた可能性は少なくないと思います。

イゴール・アキンフェエフの躍動

レフ・ヤシンの引退試合が行われたモスクワのルジニキ・スタジアムで、8万人の大観衆が雨に打たれながら自分たちの勝利を願っている状況でのPK戦。ロシア人のGKにとって、これ以上の舞台はちょっと考えられません。

イゴール・アキンフェエフは前回大会の韓国戦で大きなミスをしてしまいましたが、今回の大活躍ですべてを取り戻しました。イアゴ・アスパスのシュートを左足でセーブした場面を、ロシア国民は永遠に忘れないでしょう。

僕がCSKAモスクワの試合を熱心に見ていたのは本田圭佑が所属していた期間だけですが、本田が加入するずっと前から現在に至るまで、アキンフェエフは同クラブの正GK兼キャプテンとして君臨し続けてきました。GKとしては決して高くない身長(185cm)を反射神経と身体能力でカバーするタイプで、どことなくイケル・カシージャスやケイラー・ナバスと近いものを感じさせるプレースタイル。日本のインターネットの片隅に、彼がビッグセーブを披露するたびに「アキン神」と書き込むミームが存在したことを覚えています。

ビッグクラブが獲得を検討するような実力を持ちながらも、ブレることなくCSKAモスクワ一筋を貫いてきたアキンフェエフ。地元開催のW杯という最高の舞台で、自らのPKストップでアップセットを実現した瞬間、普段は冷静沈着な彼も子供のように感情を爆発させてピッチにダイブしました。まさにカタルシスの権化、ロシア人の記憶にこびりつくドラッグです。僕がモスクワ生まれのフットボール・オタクだったら、その姿を思い出すだけで1年間は幸せな気分でいられるでしょうね。

カスパー・シュマイケルとダニエル・スバシッチの蜜月

延長後半、ルカ・モドリッチのPKをカスパー・シュマイケルがキャッチしたとき、「あ、これデンマーク勝ったわ」という直感に貫かれた人は僕以外にも地球上に数億人単位でいたと思いますが、フットボールってそんなに単純じゃないんですね。勉強になりました。

もちろんシュマイケルもヤバいけど、同じくらいダニエル・スバシッチがヤバかった。そもそも、2人はすごく共通項の多いGKです。それぞれレスター・シティとASモナコという所属クラブの大黒柱として(度合いは違えど)番狂わせのリーグ優勝を成し遂げていて、強豪一歩手前の欧州の中堅国の正GKで、190cm以上の身長があって、オーバー30で……。そんなデータ上の類似性をなぞるように、PK戦でも「あいつが止めるなら俺も止めるわ」とでも言わんばかりのシンクロっぷりを見せてくれました。

最後の最後に少しだけズレが生じて、2人の蜜月関係はクロアチアの勝利という形で終わりを迎えましたが、眠気が吹き飛ぶほどアツいPK戦だったことはしっかりと記録しておきたいところです。今晩のティボー・クルトワと川島永嗣では、サイズ的にもキャラ的にも格的にも絶対にありえない勝負であることは言うまでもありません。それでもどちらが勝つのがわからないのがフットボールのいいところですが……。やめましょうか、この話は。

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